2015年04月03日(金) 18:00
◆ファンにとっても関係者にとっても歓迎されるべき騎手交流戦
重賞歴代優勝馬は1973年以降の重賞優勝馬が一覧となっており、また重賞競走優勝馬は重賞の成績や勝ち馬にリンクされているので、地方競馬にかかわる競馬ライターや編集者にとっては日常的に利用していた、なくてはならないもの。おそらくファンの方々にも利用者は多かったのではないか。それが突然なくなったときには「困った」という声があちこちから聞かれたので、おそらくそうした不満の声に応じる形で復活してくれたのだろう。ちょっと、いや、かなり安心した。
さて本題。地方競馬全国協会から3月31日付けで、「平成27年度 地方競馬におけるJRA所属騎手招待競走」というリリースがあった。中央と地方の騎手交流競走は年に何度か行われていて、すでにかなりの歴史を重ねたおなじみの企画もあるが、こうして年間の予定としてまとめて発表されるのは初めてのことではないだろうか。
『ゴールデンジョッキーカップ』(園田・12月15日)、『全日本新人王争覇戦競走』(高知・2016年1月20日)、『佐々木竹見カップジョッキーズグランプリ』(川崎・同1月26日)は恒例だが、これらに、『高知競馬場30周年記念 JRA・地方騎手交流 ジョッキーズバトル 洋一カップ』(高知・4月29日)、『ジャパンジョッキーズカップ2015』(盛岡・7月20日)という2つの騎手交流競走が加わったのは、うれしい驚きだった。
高知のジョッキーズバトル 洋一カップは、第6回福永洋一記念に併せて開催される。2010年に始まった福永洋一記念は、福永祐一騎手のお父様で、高知出身の元騎手・福永洋一さんを記念するレースで、高知所属馬だけで争われている重賞。昨年などは同日にJRAとの条件交流競走も組まれており、そうであれば騎手交流レースもやればいいのにと思っていたファンや関係者も少なくなかったはずで、それが実現することになった。JRA選抜、地方選抜、高知選抜、各4名によって2レースで争われる対抗戦だ。
そして盛岡のジャパンジョッキーズカップ2015は、JRA選抜、地方東日本選抜、地方西日本選抜、各4名によって3レースで争われる対抗戦となっている。これは震災のあった2011年に、復興を願って8月のクラスターC当日に『JRA VS 岩手競馬』として行われたのが最初で、2012、2013年には7月のマーキュリーC当日に『ジョッキーズチームマッチ』として、JRA、岩手、地方の選抜騎手対抗戦として行われていた。しかし昨年は休止となり、それが復活したものと思われる。
高知の福永洋一記念、そして震災の年の『JRA VS 岩手競馬』は、その経緯について書くと長くなるので省略するが、いずれにも共通するのが、主催者の主導ではなく、中央・地方の騎手同士のつながりの中から、騎手たちが自主的に提案して始まったということ。それだけにこうした騎手交流戦は、ファンにとっても関係者にとってもおおいに歓迎されるべきもの。都合がつくファンの方には、ぜひとも現地で観戦することをおすすめしたい。
いまだ日本の競馬は、中央・地方という一国二制度の元で行われ、調教師も騎手もその免許は別々だが、もしかしてこうした現場同士の交流から融和が進んでいくのではないかという気もする。
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斎藤修
1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。
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