2015年04月10日(金) 18:00
◆若い馬の活躍の場の増加
昨年12月19日付の本コラム「交流重賞出走馬の選定で進歩」で、今年から地方で行われるJpnII/IIIに出走するJRA所属馬の選定方法が変わったことをお伝えした。簡単におさらいしておくと、昨年までの選定方法は、
[通算の収得賞金]+[過去1年の収得賞金]+[過去2年のGI競走の収得賞金]
今年からは、JRA出走枠内上位3頭までは上記従来の方法で決定されるが、残りの枠については、
[過去1年の収得賞金]+[過去2年のGI競走の収得賞金]
で選定される。つまりデビュー以来積み重ねた実績に関係なく、過去1年で好成績を挙げた馬にも出走するチャンスが巡ってきやすくなった。この変更によってどうなったか。
4月8日の東京スプリント(大井)までに、地方競馬ではJpnIIおよびJpnIIIの交流重賞が7レース行われたが、昨年の同7レースの連対馬では4歳馬0頭、5歳馬2頭だったのに対し、今年の連対馬では、4歳馬3頭、5歳馬4頭と大幅に若返った(ちなみに連対馬は、昨年今年ともすべてJRA所属馬)。連対馬の平均馬齢では、昨年が6.86歳に対し、今年は5.79歳と、1歳以上も若い。
上位3頭以外で選定された馬のうち、旧ルールでも新ルールでも選ばれたという馬もいるはずで、また選定馬の回避による繰り上がりなどもあり、新ルールだからこそ選ばれたという馬を線引きすることは難しいが、おそらく新ルールによって選ばれたであろう馬には、たとえば佐賀記念で1番人気に支持されて制したマイネルクロップ(牡5)がいる。
マイネルクロップは、過去1年(出走馬選定時の過去1年)では準オープンを2度勝っていての出走で、その佐賀記念での勝利で弾みをつけ、続く中山のマーチSも勝ってダートグレード連勝となった。
また黒船賞を制したダノンレジェンド(牡5)も、新ルールによる選定馬と思われる。JRA枠5頭のうち、タイセイレジェンド、ドリームバレンチノ、セイクリムズンという3頭の重賞実績馬がいたので、これは間違いない。そのダノンレジェンドも、続く東京スプリントも制してダートグレード連勝となった。
そして東京スプリントには、芝の準オープンからダートのオープンを連勝してきた4歳のシゲルカガが出走して、これが2着。
というように、若い馬の活躍が目に見えて目立っている。冒頭でも書いたとおり、JRA枠のうち上位3頭は従来どおりの選定方法で、どれだけ影響があるのかと思っていたが、若くてイキのいいダート馬の活躍の場がかなり増えたといってよさそうだ。
その反面、当然のことながら押し出されてしまうのが、“昔の名前で出ています”的な高齢馬だ。そういう馬には、ぜひ地方移籍という道を考えてほしい。地方所属としてならおそらくダートグレードにも出走しやすいはず。そうなることよって、地方競馬で行われるダート交流重賞の層が今以上に厚くなることが期待できる。
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斎藤修
1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。
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