JBCを終え、期待はソルテ

2015年11月06日(金) 18:00


◆4歳以上最優秀牡馬に選ばれる可能性も

 3日に行われたJBCの個々のレースについては『交流重賞回顧』のコラムに書いたが、全体的に見れば地方勢は完敗。レディスクラシックとクラシックで地方最先着が5着で、スプリントは中央勢が掲示板独占となった。1日で行われる(2006年の川崎開催は2日間)JBC3戦(2010年までは2戦)で、地方最先着が5着というのは、2002年第2回の盛岡開催以来のことだった。

 ただ、地方勢の現状を思えば仕方のない結果ともいえる。なにしろ今年は2歳戦を除けば、ダートグレードを勝った地方馬は、いまだマーキュリーCのユーロビートだけという状況なのだ。今年の地方馬の人気を見ると、単勝万馬券でなかったのは、わずかに4頭。レディスクラシックのブルーチッパーが61.1倍、スプリントのサトノタイガーが96.6倍、クラシックのハッピースプリントが25.8倍、ユーロビートが46.6倍というもの。期待がかかったハッピースプリントも5着。それでも勝ち馬からは0秒8差と、今後に希望をつなぐ結果ではあった。

 一方、JBCが終わって明るい話題もあった。祭りのあとという雰囲気もあった翌4日の大井・マイルグランプリでは、期待のソルテが他馬を寄せ付けず連勝を5に伸ばし、マイルの重賞も4連勝とした。

 今回、ソルテにはひとつ試練があった。今年のさきたま杯で、逃げて3着に入った快速馬リアライズリンクスの存在だ。互いに競り合えば共倒れという可能性も考えられた。

 そしてやはり、ダッシュよく飛び出したソルテにリアライズリンクスがハナを奪おうかという勢いで外から競りかけてきた。さすがにソルテのほうが内枠だったこともあって1〜2コーナーでは単独で先頭へ。それでも1コーナーまでびっしり競り合ったことで後半のスタミナがどうかと思ったが、まったくそんな心配には及ばなかった。4コーナー手前、まったく楽な手ごたえで、直後を追走したムサシキングオー、リアライズリンクスとの差を徐々に広げにかかったあたりで勝利がほぼ確信できた。

 ソルテは3歳時のジャパンダートダービー(6着)以来ダートグレードへの参戦はないが、南関東の現役最強馬は、ハッピースプリントか、ソルテか、と言えそうだ。

 今年も残り2カ月を切って、NARグランプリの表彰馬が気になる季節。前述のとおり、ここまで地方の古馬でダートグレードを制しているのはユーロビートのみという状況。しかしそのユーロビートも勝ち星はその1勝のみ。であれば、今年7戦6勝で、そのうち重賞4勝というソルテにも4歳以上最優秀牡馬に選ばれる可能性も出てくる。このあとは、浦和・ゴールドC、そして年明けに大井・フジノウェーブ記念から、いよいよJpnIのかしわ記念を目指すとのこと。来年以降も含め、ソルテにかかる期待はいよいよ大きなものとなりそうだ。

 なお2歳馬では、5日に行われた北海道2歳優駿で、牝馬のタイニーダンサーが2歳馬らしからぬ強い勝ち方を見せ、エーデルワイス賞からJpnIIIを連勝。こちらも地方競馬にとっては明るい話題となった。この結果についても、『交流重賞回顧』のコラムをご覧いただきたい。

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斎藤修

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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