2017年12月18日(月) 18:01
▲勝島王冠&クイーン賞のレース回顧も!(撮影:武田明彦)
今年最後の連載となる今回は勝島王冠とクイーン賞のレース回顧をお届け。ともに上位着順に好走するもそれに満足することなくしっかりと敗因も分析します。さらにJRAの重賞チャレンジCで掲示板にのる活躍を見せたスーパーマックス(佐賀)の印象や、この1年間を振り返っての自己評価も。クラシック初制覇など充実の一年かと思いきや、本人の感触は意外にも?(取材・文:赤見千尋)
――まずは11月29日に大井で行われた勝島王冠を回顧していただきます。勝ったディアドムスは強かったですが、8番人気のタイムズアローで大接戦の2着争いを制しました。
笹川 人気はなかったですけど、装鞍所で鞍付けをしている時から調子が良さそうだなと感じていました。騎乗したのは5か月ぶりで、前に乗った時も良かったんですけど、毛づやとか体のハリが、また一段と良く見えて。
――レースは好位の後ろ辺りからになりましたけれども、振り返っていただけますか。
笹川 スタートを出てくれたので、いいところを取れたら取りたいと思っていました。ちょっと気難しいところがある馬なんですけど、ある程度前を射程圏内に入れてという位置が取れました。
――気難しいところがあると前から言われていますが、馬群の中に入っても大丈夫なんですね。
笹川 そうなんですよ。むしろそういう形の方がいいのかもしれないです。3、4コーナーの途中でちょっと不利があったんですけど、それでも気持ちを切らさずに最後もまたしっかりと伸びてくれました。よく頑張ってくれましたね。
――乗り難しいイメージがありますが、具体的にはいかがですか?
笹川 ちょっと我が強いところはありますけど、上手く促してあげればすごくいい脚を使ってくれる馬です。9歳でもまだまだ若いですし、雰囲気もとてもいいんですよ。僕が乗せてもらってからは2着が最高なので(フジノウェーブ記念、勝島王冠)、重賞を勝てるように頑張ります。
――続いては12/6に船橋で行われた、ダートグレードのクイーン賞を回顧していただきます。ラインハートはJBCレディスクラシックで3着に激走し、注目度も上がっていましたね。
笹川 結果的には3着だったんですけど、頭数が少なくてペースが落ち着いてしまったので、この馬には厳しい展開になってしまいました。末脚がすごい馬ですが、船橋コースですし、後ろで構えているという流れではなかったので、意識して早めに前を目指して上がって行ったんですけど、ただやっぱりその分最後のキレは前走よりは甘くなってしまいました。
▲「意識して早めに前を目指して上がって行ったんですけど、その分最後のキレは甘くなってしまいました」(撮影:高橋正和)
――2度目のレースで新たな一面も見られましたね。
笹川 そうですね。コーナーでは内を回って、直線外に出してという器用な立ち回りもできましたし、一番のカギだと思っていた折り合いが思っていた以上につきました。今後はまた試行錯誤ですけど、次はもっと積極的に乗ってみてもいいかなという気持ちもあります。
――JRA時代は芝の短距離を走っていましたし、すごく掛かるイメージです。
笹川 僕もそういう風に聞いていました。確かに攻め馬でもけっこう引っ掛かるんですけど、でも砂を被るとちょうどいい感じになるんでしょうね。だからダートはいいと思います。前走で折り合いに新境地を見せてくれたし、末脚一辺倒ではなくて、展開次第ではある程度ポジションを取りに行くような競馬もしてみたいですね。
――今後も楽しみですね。
笹川 ダートグレードで注目されるような馬に騎乗できるチャンスはなかなかないので、乗せていただいて本当に感謝しています。厩舎の皆さんが一生懸命仕上げてくれますし、馬も頑張ってくれるので、ぜひタイトルを獲りたいです。
――続いての話題は、笹川騎手も騎乗経験のある佐賀のスーパーマックスが、JRAのチャレンジカップに挑戦して5着!これは大健闘ですよね。
笹川 すごいですよね。レース見てましたけど、びっくりしました。もともとスタートが上手な印象ですけど、あのメンバーに入っても好スタートを切ってましたもんね。僕は今年の3月に南関東へ移籍した時に乗せていただいたんですけど、正直その時はここまで走るとは思わなくて。気持ち的にも体的にもこれからという感じでした。その後佐賀に再転入して、地元のダービーも勝ってすごいなと思ってましたけど、芝でこういう結果を出すとは…。先々が本当に楽しみですし、馬の成長というのを見せてもらいました。
▲スーパーマックスの激走に「先々が本当に楽しみですし、馬の成長というのを見せてもらいました」(ユーザー提供:evangelionさん)
――地方馬がJRAの重賞で掲示板に乗るというのはなかなかないですよね。
笹川 本当にすごいことだと思います。でも最近はこういういい流れが増えてますよね。中央馬と戦ってもヒケを取らない馬がけっこういて。JBCレディスクラシックを勝ったララベルもそうですし、僕が乗せていただいているラインハートもすごく頑張ってくれているし。この流れに乗って、みんなで頑張りたいですね。
――今回は2017年最後の連載になります。年末までまだまだ競馬はありますが、ここまでを振り返って、ご自身で点数を付けるとしたら?
笹川 う〜ん、そうですねぇ。60点くらいかな。
――ちょっと低めですね。
笹川 勝ち切ることができなくて、そこが不満というか足りないところだなと感じています。2着の数が多いんですよ。いい競馬をさせてもらっているんですけど、競馬は勝ってこその世界なので、物足りない気持ちは大きいです。
――今年はクラシック制覇も果たしましたし、外から見ていると充実の一年だったのかなと思っていました。
笹川 クラシック制覇は大きなことだったので嬉しかったですし、自信にもなりました。今年はこれまで以上に、すごくいい馬たちに乗せていただいたなという思いはあります。重賞でも注目される馬に乗せていただいて、本当にいい経験をさせていただきました。でも自分自身、まだまだ足りないです。
――個人的重大ニュースはありますか?
笹川 特にないですね。毎日淡々と過ごしていたので(笑)。プライベートも…特にないです。毎年、年を取っている感じです。
――いや、まだまだお若いですけれども。では最後に、年末年始に向けて意気込みをお願いします。
笹川 大みそかまで大井開催で1日から川崎開催なので、怒涛の日々になりますが、大きなレースが続きますし、ぜひたくさんのファンの方に遊びに来ていただきたいです。今年一年本当にありがとうございました。来年もよろしくお願いします!
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笹川翼(大井)
1994年7月17日生、新潟県出身。2013年4月7日に米田英世厩舎(大井)からデビューすると初年度から43勝を挙げ、NARグランプリ優秀新人騎手賞を獲得。重賞勝利に勝島王冠(15年)、船橋記念(16年)、ハイセイコー記念(16年)。
プロフィール
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