2018年01月13日(土) 12:00
◆今世紀初の快挙となるかも?
先週の当コラムで今年のダービー馬を大胆予想しましたが、今週はその続き。「何だ、そりゃ? 気が変わったのか?」という方もいらっしゃるでしょうが、そういうわけではありません。
私がここで年頭のダービー予想を始めたのは2014年から。その時は1994〜2013年の20年間のデータを参考に原稿を書いたのですが、それに2014〜17年のデータを加えると、どんなことになるだろう?と思ったんです。
すると、その4年間に、3歳になってからデビューしてダービーを制した馬はいませんでした。2000年のアグネスフライト以来途絶えている3歳デビュー馬によるダービー制覇がもし見られたら…。それは、今世紀初の“超レア”な快挙となるわけです。
では、2歳時に重賞に出走していた馬と未出走だった馬の割合は?というと、これがまだまだ“どっちつかず”なんですよ。14年のワンアンドオンリーは東京スポーツ杯(6着)とラジオNIKKEI杯(1着)に、去年のレイデオロはホープフルS(1着)に出ていましたが、15年のドゥラメンテと16年のマカヒキは未出走。06〜13年は出走組6頭対不出走組2頭だったので出走組優勢と思ったら、不出走組も盛り返して、割合で言うと3対1から2対1になりました。
2歳時重賞不出走でもダービー馬になれる、というのであれば、今度は3歳時にどういうルートをたどったかを押さえておくべきでしょう。まず、マカヒキは若駒S1着→弥生賞1着→皐月賞2着というローテーション。ドゥラメンテはセントポーリア賞1着→共同通信杯2着→皐月賞1着。2010年のエイシンフラッシュは京成杯1着→皐月賞3着。2歳時重賞不出走とはいえ、この3頭はほぼ王道を歩んでいます。
1頭だけ違うのが08年のディープスカイで、3歳初戦の未勝利戦(2歳時は4戦0勝)9着→通算6戦目の未勝利戦1着→500万条件2着→アーリントンC3着→毎日杯1着→NHKマイルC1着。これがいかに例外的存在だったかは、前記3頭と比較すれば一目瞭然でしょう。
前記3頭のデータからすると、2歳時重賞不出走だった馬がダービーを制するには、3歳時の初戦に勝たなきゃダメ、ってことだと思います。確かに、そこで負けたら、出走権を得るのも難しくなりますからね。
そうそう、ご存知のように、今年から皐月賞5着馬にもダービーの優先出走権が与えられることになりました(今までは4着馬まで)。そうなると、これまで以上に皐月賞路線に間に合っておくことが重要になりそうです。今後はやっぱり、2歳時に重賞を経験していた馬のほうが優勢になっていくような気がします。
ちなみに、過去24年のダービー馬のうち、皐月賞出走馬は18頭で、別路線組は6頭だけ。別路線組の1頭は牝馬のウオッカですが、他の牡馬5頭中4頭は、毎日杯か京都新聞杯(またはその両方)に勝った馬でした。
そんなことを頭に入れた上で、これからの3歳戦線を見ていこうと思います。
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矢野吉彦
テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。
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