先々週の金曜(8月30日)。開門から少し時間が経過し、馬場が少しずつ荒れ始める午前5時半過ぎのことだ。周囲に馬のいない坂路コースのど真ん中を、きれいなキャンターで真っすぐに駆け上がってくる素晴らしい馬の存在に目を奪われた。こんな感覚は98年
きさらぎ賞の前日、夜明け前の坂路を駆け上がった
スペシャルウィークを見て以来。あのときは隣にいた先輩記者と「今回どころか、ダービーの勝ち馬まで分かったな」と話をしたものだが…。とにかく、それほどまでの衝撃を受けた。
「見ている人からも、そう見えるんですか? 乗ってる人間だけの感覚じゃないんだ。あ、やっぱりそうなんだ」と、こちらの話に共感してくれたのは、その“素晴らしい馬”に乗っていた藤本助手。その馬とは…14日阪神のオープン・
野路菊S(芝外1800メートル)に出走を予定している
マイラプソディ(牡・友道)だ。
「あの日、確かに馬場の真ん中を走らせて、軸が全くブレていないと思いながら乗っていました。馬場が少し荒れた状態で、周囲に頼るものもない状況。そこでこれだけのフットワークで走れるなんて本当に素晴らしいなって。ですが、真っすぐに走っていると思っていても、映像などで確認したら少し軸がブレていたり、真っすぐに走っていなかったり。乗っている感覚って意外とそんなものです。でも、見ている人も自分と同じように感じてくれているのなら、もう間違いない。上を目指さなくてはいけない馬ですし、
野路菊Sは絶対に取りこぼせません」
自身が担当する昨年のダービー馬
ワグネリアンとは「タイプが違うので比較しにくい」というが、中京芝2000メートルの新馬勝ち→放牧を挟んで2戦目で
野路菊Sは先輩と同じルートだ。
この状況だけでも興奮している記者に対し、藤本助手は「余裕を残した状態で出走した新馬戦よりも芯は入ってきました。1週前はウッドで攻め駆けする
ビーチサンバとの併せ馬。負けずに食らいつくことができたんですから、現状でも十分に素晴らしいですよね。なのに、まだ馬体には緩さを感じるんです。やっぱり
ハーツクライなんですよね、この馬は。どこまでの伸びしろを残しているのかと考えると…。楽しみしかないですよね」と追い打ちのひと言。
デビュー前から「今年のダービー候補」と周囲に吹聴して回っていた馬が、前走後の放牧でさらに上昇したというか、特別な雰囲気を持つ存在になって帰ってきた。こちらはそのように感じているのに、現段階でも完成途上という話。これほど興奮する状況があるだろうか!
2つの3歳重賞が組まれた3日間開催だが、メインは土曜阪神の9R。伝説の一ページを刻む走りを期待したい。
(松浪大樹)
2019/9/11 18:55
毎年伝説感じてそうだなこいつ