あの芦毛の走る姿を見たい。…でも、いまは辛抱のとき

2014年07月10日(木) 18:00


辛抱の時代があったからこその花開くとき

 ブリーズアップで目立つ走りを見せ、元調教師の池江泰郎氏が購入したことで話題になったネージュドール。予定では先週、武豊騎手を背にデビューする段取りでした。しかし、その当週に左前脚を捻挫してしまい出走を見合わせることになりました。その後のネージュドールですが、厩舎で静養しながら様子を見ています。あと一歩のところで、苦い思いをしているわけですが…。

トレセン密着

ネージュドール

 池江氏は調教師としてディープインパクトやメジロマックイーン、ステイゴールドなどを育て上げた名伯楽ですが、その道のりは最初から順調だったわけではありませんでした。

「調教師になったばかりのころは、午前中のレースにしか参加できなくてね。メインレースのころには自宅に戻っていたんだ。毎週毎週、メインレースをテレビ観戦するのは、そりゃ寂しかったよ」と当時を振り返っていらっしゃいましたね。

 いまの時期、調教師は北海道のあちこちの牧場をまわって馬をみたり交渉したりしていますが、池江氏も調教師の駆け出し時代は「おにぎりを頬張りながら、休むまもなく運転して牧場を訪ねてまわった」と話していました。そのように辛抱に辛抱を重ねて重賞路線に参加できるようになり、やがてはあれだけの功績をあげられたのです。騎手時代も最初のころは辛抱が多かったと聞いています。

 池江氏は馬主になられたばかりですが、騎手時代や調教師時代同様に“最初は辛抱”という流れの中におられるのでしょうね。ネージュドールもいまは“辛抱”のときですが、ブリーズアップで見せたゴール板を過ぎても果敢に走ろうとしたように大きな素質を秘めた馬です。いずれその辛抱が花開くときがくるはず!ジッとそのときを待つ、時間をやり過ごすというのは、それはそれで切なくもどかしいですが…。いずれは来るべき時がくるはずです。そのときをジッと待つしかないですよね。

 シゲルスダチは。まだ栗東には戻ってきておりません。こちらももどかしい……!でも、小倉の開幕週に向けてもうすぐ帰ってくるはず。小柄ですし、気持ちが前向きな馬なので仕上がりも早いですしね。栗東に帰ってきたら、また元気よく坂路を駆け上がっていくことでしょう。

 写真は放牧に出る前のスダチくんです。戻ってきたら、さらに白くなっているんだろうなぁ。ファンのみなさま、いまはまだ“辛抱”のとき。もうちょっとだけ、あのやんちゃ坊主が帰ってくるまでお待ちくださいね。

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シゲルスダチ

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花岡貴子

デジタルレシピ研究家。パソコン教師→競馬評論家に転身→IT業界にも復帰。競馬予想は卒業したが、現在も栗東トレセンでニュースやコラム中心の取材を続けている。“ねぇさん”と呼ばれる世話焼きが高じ、AFPを取得しお金の相談も受ける毎日。公式ブログ「ねぇブロ」(http://ameblo.jp/takako-hanaoka/)

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