後生大事に打ち込むこと

2014年07月24日(木) 12:00


ラブイズブーシェの快勝に思う

 仕事で成功できるかどうか、気になるこのテーマに気を奪われそうになったら、取り合えず、それは二の次にする。そして、目の前の事に没入するのだ。一心不乱に取り組むことで持てる知恵が働いて仕事に生きてくる、そう教えてくれた先人がいた。要は、後生大事にこの仕事に打ち込むことで、次の展開が見えてくると述べているのだ。

 ローカル競馬たけなわ、そこで勝利するベテラン馬の中には、ただひたすらの姿を見せるものが多い。23戦目で函館記念を勝って重賞初制覇を達成した5歳馬ラブイズブーシェは、昨年の今ごろ1000万と準オープンの特別戦を函館で勝っていた。上がりを要する洋芝がぴったりで、器用さもあって小回りも合うという下馬評だったが、スタートで遅れながらもあわてず後方から5番手で外に出すチャンスをうかがっていた。3コーナー、スペースができるとすかさず外に出てスパート、長くいい脚を使える持ち味を生かしたのだった。

 芝の二千米はこれで14戦して掲示板を外したのは2回だけ。そのうちのひとつ、函館で行われた昨年の札幌記念10着は、重馬場が敗因とのこと。6勝のうち5勝している二千米、5戦3勝の洋芝と、これまでと同様、ひたすらこの条件を追い続けていく。ラブイズブーシェの後生大事にすることは、これなのである。今年も次は札幌記念になる。

 かつて中京記念(当時二千米)で初めて重賞レースを勝ったアロハドリームという馬がいた。生涯成績が25戦6勝だが、その勝ち鞍全てが二千米だった。新馬戦を勝っていたが、その後オープン入りするまでのレースを見ると、12戦して掲示板を外したのが1度だけという安定した成績を残していた。無理をさせず、勝負になりそうな状況を選んでいた様子がうかがえる。オープン昇格を果たして2戦目が中京記念だったので、得意とする二千米を後生大事にしていたことが分かる。成功するかどうかに気を奪われず、後生大事に打ち込むところに幸運が訪れてくるのだ。

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長岡一也

ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

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