2014年08月14日(木) 12:00
志は満たされるにこしたことはないから、それはそれで良いが、ほどほどでけじめをつけておきなさいということでもある。努力して叶った願いなら価値があっても、下手に叶ったものだと人は欲の虜に陥りやすい。自らを戒める心を忘れてはならないのだ。これは、一度でも経験したものなら分かる筈だ。だいいち、馬券がそうではないか。
昨年の2歳チャンピオンのアジアエクスプレスがダートの出世レース、レパードSで蘇った。デビューからダートで圧倒的勝利で2連勝し、これならと初芝の朝日杯FSに出走して勝ったのだから、春の目標を皐月賞へと舵を切っても分からないことはない。でも望みどおりの結果は得られなかった。それではと再びダート路線へ。そのユニコーンSまでの期間をゆったり過ごしたことで、大型馬でのんびりとした気性に火がつかず、本番では大敗。半信半疑ながら今回は、その暗雲を払うべくブリンカーで集中力強化に努め、体重を増やし、パワーをつけて登場したのだった。抜群のスタート、スムーズな走り、ゴーサインを受けてからダイナミックなフォームで加速、なによりも馬自身が気分良く走っていた。正に、この世代の新しいダートチャンピオン誕生を思い起こさせたのだった。
「志は満たすべからず」を味わい、もう一度自身を振り返ったことで、本来の進むべき道を見い出したのだった。悩みの一つや二つかかえているほうが前進する力を生み出せるということでもある。かつて関屋記念で2年10ヶ月ぶりの重賞勝利を果たしたマルカシェンクが、2歳時は3戦3勝で世代最強馬とも言われたこともあったが、骨折、病気、スタートの悪さで長く低迷を続けていたことを思い出す。
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長岡一也
ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。
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