2014年10月24日(金) 18:00
◆地方馬は全体的に厳しいか
11月3日に行われるJBCの登録馬が発表された。レースごとに現時点での感想を述べてみたい。
まずはレディスクラシック。JRA6頭の出走枠に入ったのは、ワイルドフラッパー、サンビスタ、アクティビューティという、地方での牝馬ダートグレード勝ちのあるおなじみのメンバーに、コーリンベリー、トロワボヌール、ブルーチッパーの3頭はいずれも出走すれば地方は初参戦で、トロワボヌールが芝の新馬戦を勝っているものの、いずれもダートで実績を重ねてきた馬たちだ。
3歳のコーリンベリーは、ユニコーンS2着があり、初めての古馬との対戦となったプロキオンSには51キロの出走で、着順こそ9着だったが、勝ったベストウォーリアからわずか0秒4差。トロワボヌール、ブルーチッパーは、ともに前走でダートの準オープンを勝ち上がっている。
牝馬のダート戦線は、準オープンの上位クラスあたりに素質馬が身を潜めているという印象で、実際にワイルドフラッパー、サンビスタ、アクティビューティいずれも中央では準オープン勝ちまでの実績でダートグレード路線に参戦して結果を出した。JBC本番では、前哨戦のレディスプレリュードを快勝したワイルドフラッパーがおそらく人気になるだろうが、地方初参戦の3頭も勝負になる可能性はおおいにありそう。
地方馬では、カイカヨソウ、ピッチシフター、マイネエレーナ、レッドクラウディアにダートグレード3着以内があるが、仮にJRAの選定馬6頭がこのまま出走となると、馬券圏内は難しいかもしれない。上昇中のマイネエレーナ、ピッチシフターに期待だろうか。なおカイカヨソウは、この10月に新規開業となった佐藤裕太厩舎の所属となっている。
スプリントは、すでに報道にもあったとおり、コパノリチャードが芝路線からの参戦。そのほか現時点で選定されている5頭は、一昨年の勝ち馬タイセイレジェンド、前哨戦の東京盃を制したノーザンリバーら、いずれも地方のダートグレードでのタイトルがあるおなじみのメンバーとなっている。
地方勢は、う〜〜ん、正直厳しいと言わざるをえない。キモンレッド、ダイショウジェット、ヤサカファインにダートグレード3着以内があるが、いずれも過去の栄光だ。今年地方馬として唯一ダートグレードを制している兵庫のタガノジンガロの名がないのは、おそらく地元の兵庫ゴールドトロフィーを目標としているためで、1200mという距離も短すぎると判断したのかもしれない。
クラシックは一気に世代が若返った、現時点で出走枠に入っている6頭のうち、ワンダーアキュートが8歳である以外は、ホッコータルマエが5歳で、クリソライト、クリノスターオー、コパノリッキー、ベストウォーリアと4歳馬が4頭。さらに補欠1位が3歳のカゼノコだが、これについてはあとで触れる。
クリノスターオーが地方初参戦となるが、報道では、みやこSに出走となっている。そうなればカゼノコが繰り上がれるのだが。あと南部杯を勝ったベストウォーリアは出てくるのだろうか。南部杯直後の石坂正調教師の話では、距離適性的にあまり前向きではない様子だったが。
地方勢では地元のナムラタイタンに期待となるが、休み明けとはいえ南部杯6着の内容から、中央在籍時の力を望むのは難しいかもしれない。大井のユーロビートは東京記念でサミットストーンを負かしたが、移籍前の中央の成績が準オープンで好走まで。クリノスターオー以外はGI/JpnI勝ちがあるという中央のメンバーに入ってはいかにも厳しい、というのが現実。
さて、補欠1位のカゼノコは、どれか1頭でも回避してくれれば出走枠に入れるという状況だが、『ダートの祭典』とも言われるレースで、その年の3歳ダートチャンピオンが果たして“補欠”でいいものかどうか。日本テレビ盃を勝ったクリソライト、南部杯を勝ったベストウォーリアに優先出走権があるので、そのほか出走できる中央馬は4頭ということになる。今年のクラスターCを勝って、スプリントで補欠3位のサマリーズにも同じことが言える。
2週前の本コラム「続・JBCの中央出走枠」での指摘の繰り返しになるが、いずれ中央の枠を柔軟に増やす過程として、Road to JBC各レースの優先出走権は、やはり所属枠とは別に数えるようにすべきではないか。
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斎藤修
1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。
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