2014年11月07日(金) 18:00
◆例年以上に盛り上がりを見せたように感じた今年のJBC
盛岡競馬場で行われたJBCは、本場の入場人員10,331名こそ12年前の前回(14,287人)に及ばなかったものの、JBCクラシックの売上げ11億8296万3400円、当日の売得額29億3335万1100円は、ともに岩手競馬の1レースあたり、1日あたりの売上げレコードとなった。レディスクラシックが加わってJBCが全3レースで行われるようになって以降の1日の売得額では、さすがに2011年の大井(31億円余り)には及ばなかったが、2012年の川崎、そして昨年の金沢を上回るという盛況だった。なお、レースそのものについては、すでに公開されている『地方競馬ノート〜ダートグレード競走回顧〜』をご覧いただきたい。
今回のJBCは、12年ぶりに盛岡競馬場が舞台となり、その間には2007年度シーズン開幕前の岩手競馬の存廃問題、そして2011年の大震災を乗り越えてということもあり、例年以上に盛り上がりを見せたように感じた。ちなみにぼくはJBC当日、グリーンチャンネルのスタジオで中継の解説だったため、現地には足を運んでいないことをお断りしておく。
あらためて思ったのは、中央競馬に比べてマスメディアへの露出が少ない地方競馬において、1日にJpnIを3レースというインパクトは大きいということ。たしかに馬券の売上げだけを考えれば、大レースは分散して開催したほうがいい。しかし地方競馬の場合は、まず競馬をやっていることを世間に広く知ってもらうという必要がある。そもそも競馬ファンでも「中央しか興味がない」という人も少なくなく、中央のトップホースが集まればそうしたファンへのアピールにもなる。また、大レースを集中して開催すれば、広告宣伝費も一点集中で注ぎ込めるため、より大々的なアピールが可能になるというメリットもある。
そして今年関心させられたのが、盛岡競馬場のスタンド内で行われた『JBC後夜祭』。中央ではGI開催の最終レース後に、レースを振り返るトークイベントなどをやっているが、地方競馬では交流のGI/JpnIがあっても、レースと表彰式が終われば、ハイそれまで、というのが常だった。映像を通して一部しか見ていないのだが、『JBC後夜祭』は、競馬をお祭りとして楽しむということを一層盛り上げたのではないか。
昨年の金沢のJBCでは最終レース終了後、ファンからは見えない検量室脇のインタビュースペースで、金沢の吉原寛人騎手から、今年のJBCの宣伝部長(という肩書でいいのか?)ふじポンへの、“JBCバトン”の引き継ぎが、初めて、しかしひっそりと行われていた。その“JBCバトン”の引き継ぎが、今年はその後夜祭で大々的に行われていたのはとてもよかった。
たとえばオリンピックの閉会式などでは「4年後は◯◯で」などと大々的にアピールされるが、最終レースが終わったあとのこうした引き継ぎの儀式は、毎年開催場を変えて実施されるJBCをさらに盛り上げることになると思う。
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斎藤修
1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。
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