“法則”は続くか?

2014年11月22日(土) 12:00


今週が“分かれ目”

 今年の秋の競馬は、いったいぜんたいどうしちゃったんでしょう。「何が」って? もう新聞紙上などで話題になっていますよね。G1では、スプリンターズSからエリザベス女王杯まで、重賞未勝利だった馬が5連勝中。2歳重賞では、函館2歳Sからデイリー杯まで、1番人気馬が8連敗中なのです。たまたまそうなっているだけかもしれませんが、まるで示し合わせたかのように、同じことが繰り返されています。

 だいたいこういうのは、誰かが気づいて話題にしたとたんに途切れるもの。ここまで続くなんて珍しいことだと思います。今週のマイルCSでフィエロかレッドアリオンかサンレイレーザーが勝てば、これはもうハッキリ言って“快挙(怪挙?)”です。もしそうなったら、ジャパンCはアンコイルドかサトノシュレンを頭に狙ってみましょうか?

 2歳重賞の波乱も例年以上です。中でも小倉2歳Sでは15番人気のオーミアリス、京王杯2歳Sでは11番人気のセカンドテーブルが勝ちました。小倉2歳S(今年で34回目)で2ケタ人気馬が勝ったのは01年(タムロチェリー)、02年(メイプルロード)以来3回目。京王杯(今年で50回目)でのそれは、83年(ハーディービジョン※当時京成杯)、99年(ダイワカーソン)、08年(ゲットフルマークス)以来4回目。どちらも平均すれば十数年に一度くらいの出来事です。

 さらに、函館、新潟、札幌、小倉、京王杯、デイリー杯の各2歳Sで1番人気馬が1つも勝てなかった、という“事態”はおととしにもありましたが、その年に各レースを勝ったのは、順に3、3、3、2、5、6番人気馬。つまり、まぁそこそこは人気になっていた馬ばかりでした。今年のように、この6レースのうち2レースで2ケタ人気馬が優勝したのは史上初なのです。

 ついでに言えば、今年の2歳重賞では2番人気馬も未勝利。1番人気馬が5、2、7、2、10、2、3、3着、2番人気馬が3、6、5、3、2、8、7、2着で、3番人気馬がわずかに1勝、3着1回という成績です。さぁこれで、東スポ杯とラジオNIKKEI杯、そして2歳馬の総決算、阪神ジュベナイルフィーリーズと朝日杯はどうなるんでしょう?

 でもこの結果を逆に考えれば、重賞戦線で勝ち星を積み重ね、目標とするG1レースも手中に収めることや、2歳のうちから人気に応えてシッカリ勝ち進むことが、いかに難しいかがよくわかります。また、今のオープン馬の実力は、古馬にしても2歳馬にしても、高いレベルで拮抗している、とも言えそうです。

 G1と2歳重賞で、ここまで続いてきた“流れ”がいつ途切れるのか?(それがわかったら、馬券での苦労が少しは和らげられるんですけど…)。私がそういう話をネタにしただけに、ここがその“分かれ目”。今週のマイルCSでは“重賞優勝経験馬”が、東スポ杯では1番人気馬が勝つのではないか? そんな気がしてなりません。果たして結果は如何に!

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矢野吉彦

テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。

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