ルージュバックが勝ったら「歴史的な出来事」

2015年04月11日(土) 12:00


二重三重の“初体験”

 12日は桜花賞。東京では、桜の季節が終わったとは思えないほど寒くてぐずついた日が続いていますが、11日から12日にかけての阪神競馬場は好天に恵まれそう。クラシックシーズンの幕開けにふさわしい、華やかで熱い戦いを期待しましょう。

 今年の注目の的はルージュバック。でも、この馬が勝ったら、とんでもなく歴史的な出来事になるんですよ。

 まず、「?」を付けている方も多い距離経験。戦後(1947年以降)の桜花賞で芝1600メートル戦未経験馬が優勝したケースは7回あるのですが、直近では1995年のワンダーパフュームが最後。もう20年近く途絶えています。しかも、同馬を含め、そういう馬はすべて1600メートル未満のレースを経験していました。1600メートルを超えるレースしか走ったことのない馬が勝てば、おそらく前代未聞の快挙だと思います。

 また、これまでルージュバックが出走したレースの前半600メートルの先頭通過タイムは、41.0秒、36.2秒、36.3秒。長い距離のレースらしい、ゆったりペースだったことがうかがえます。一方、ここ10年の桜花賞でのそれは、遅くても35.7秒(07年=ダイワスカーレットが勝った年)。去年は33.8秒というハイペースでした。ルージュバックが、こうした流れの違いに戸惑うことはないのでしょうか?

 そしてもうひとつ。ここ10年の勝ち馬のうち、7頭は18頭立て、残り3頭も16頭立てのレースを経験済みでした。ルージュバックが走った3戦は、それぞれ7頭、10頭、8頭立て。距離やペースもそうですが、フルゲートのレースも今回が初めてなのです。同馬がこれら二重三重の“初体験”をモノともせずに勝ったら、タイヘンなことですよね?

 ちなみに、きさらぎ賞を制した牝馬は同馬が3頭目。1961年(同レース創設第1回)のスギヒメは桜花賞にも優勝、64年のフラミンゴは2着と、過去の2頭は“連対”を果たしています(当時のきさらぎ賞は中京ダート1200メートル)。このうち、スギヒメが勝った桜花賞は28頭立て。同馬は10頭立てまでのレースしか経験していませんでしたが、ヘッチャラだったわけです。ただし、当時はクラシック以外にそこまでの多頭数になることはなかったので、同様のケースは多かったと思われます。

 さてさて、このたび私、ラジオの競馬トーク番組を始めました。新潟のFM PORTで毎週土曜日の朝7時からON AIRされている「GOOD MORNING PORT CITY Saturday」の中に、「矢野吉彦のgo race go!」というコーナーができたのです。時間は8時40分頃からの約10分ほど。先週、大阪杯と船橋Sをチョコッと予想して、早速ハズしちゃいました(まぁ私のことですから、そんなものでしょう)。「新潟のFMじゃ聞けないよ」とおっしゃる方、「radiko」というサイトまたは携帯アプリでプレミアム会員(会費=月額350円+税)になれば全国の民放ラジオが聴けちゃいますから、もしよかったら登録して聞いてみてくださいね!

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矢野吉彦

テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。

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