早まる2歳新馬戦

2015年04月17日(金) 17:59


◆さまざまにありそうな影響

 3月後半から4月にかけて、冬季休催となっていた各地の競馬場で順次開催が始まり、来週22日(水)にはいよいよ2歳戦のメッカともいえるホッカイドウ競馬の開催もスタート。例年通り、その初日にはJRA認定のスーパーフレッシュチャレンジ競走が組まれている。

 2歳戦で今年ちょっと驚いたのが大井で、ホッカイドウ競馬の2歳新馬戦が始まるのと同じ週の24日(金)、早くも2歳新馬戦が組まれていて、12頭の登録がある。

 南関東での2歳戦といえば、近年は5月末の浦和開催で始まるのが常だった。それからすると、今シーズンは1カ月以上も早まったことになる。

 2歳戦のスタートが早まっているのは全国的な傾向で、中央競馬でも以前であれば2歳新馬戦は夏の北海道シリーズからだったものが、2012年からは日本ダービー翌週の東京・阪神開催から始まるようになった。

 早い時期から2歳戦が実施できるようになったのは、育成専門の牧場が充実したことと無関係ではないだろう。かつては競馬場の厩舎でデビュー前の調教から行われていたものが、現在ではほとんどレースに出走できるような状態にまで仕上げられて入厩するのが当たり前になった。

 一時期、南関東のクラシック戦線で活躍するのは、ほとんどがホッカイドウ競馬からの移籍馬という印象があったが、近年では南関東デビュー馬の活躍も目立ってきている。たとえば、昨年は牡馬路線のハッピースプリントこそ圧倒的な強さだったが、浦和・桜花賞のシャークファング、東京プリンセス賞のスマートバベルはいずれも南関東の生え抜き。2013年は浦和・桜花賞のイチリュウと、東京ダービーのインサイドザパーク、2012年は羽田盃のアートサハラらが、いずれも南関東デビュー馬という具合だ。これもおそらく育成牧場の充実と無関係ではなく、ホッカイドウ競馬を経由しなくても、能力の高い素質馬が仕上げられて直接入厩するようになったことが要因のひとつと考えられる。

 話は逸れるが、高知競馬では一時期2歳馬の入厩がほとんどなくなり、2歳重賞の金の鞍賞が2001年度から2008年度まで途絶えていたことがある。しかし2009年度(この年度は明けて2010年元日に3歳馬の重賞として行われた)から復活。当然、2歳戦を復活させようという高知競馬関係者の努力もあってのことだろうが、2歳馬の入厩が徐々に増えているのは、全国的に2歳戦が早まったぶん、早めに見切りをつけられた(いい意味でも悪い意味でも)馬たちが移籍してくるタイミングも早まっているということもありそうだ。

 ホッカイドウ競馬でデビューする馬の頭数と比べれば、ごくわずかな頭数とはいえ、南関東の、しかも大井競馬場で新馬戦が早まったことで、今後若馬の流通に変化があるかもしれない。またそれにともない、2歳戦、3歳戦の馬券的な傾向も変わってくる可能性がある。

 2歳新馬戦が早まったことでの影響はさまざまにありそうなので、今後しばらく注視しておきたい。

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斎藤修

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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