2015年05月23日(土) 12:00
去年までの30年間に、桜花賞で1番人気に推されながら敗れた馬は18頭。そのうち12頭がオークスにも駒を進めています。この12頭のオークス成績は以下の通りでした。
1着3頭、2着なし、3着2頭、4着以下7頭。勝率2割5分、3着以内率4割1分7厘。率にすればマズマズかもしれませんが、30年間で勝った馬が3頭だけというのは、言い換えれば10年に1頭しか現れないということ。ルージュバックにとっては厳しいデータです。
ちなみに、ここ30年間に桜花賞1番人気敗退から巻き返してオークス馬となったのは、91年のイソノルーブル(桜花賞5着)、05年のシーザリオ(同2着)と08年のトールポピー(同8着)。シーザリオはオークスでも1番人気に推されて“雪辱”を果たしましたが、イソノルーブルとトールポピーはオークスでは4番人気でした。
シーザリオのようにオークスでも1番人気になった馬は、ほかに95年のライデンリーダー、02年のシャイニンルビー、03年のアドマイヤグルーヴ、06年のアドマイヤキッスがいます。でも、この4頭はそれぞれ13、5、7、4着に敗れました。つまり、桜花賞1番人気敗退→オークス1番人気という馬の勝率は2割ちょうど。もしルージュバックが今回も1番人気に支持されたら、その馬券を買ったほうがいいかどうかは何とも微妙なところです。
では、桜花賞で1番人気馬を破って優勝した馬のオークス成績は? これもまぁまぁとしか言いようがありません。2冠を制したのは03年のスティルインラブと12年のジェンティルドンナ(桜花賞1番人気6着のジョワドヴィーヴルはオークス不出走)だけ。2着に来た馬が3頭いますが、00年のチアズグレイスを最後に途絶えています。3着は4頭で08年のレジネッタが最後。オークス不出走が3頭いるので、勝率は1割3分3厘、連対率3割3分3厘、3着以内率6割という計算になります。過去30年のデータからすると、レッツゴードンキも頭では買いづらくなってしまいました。
裏を返せば、桜花賞で1番人気馬が敗れた年のオークスは、そういう馬の巻き返しや桜花賞馬の2冠制覇よりも、それ以外の馬が優勝する確率のほうが高い、と言えます。まぁ、あくまでも過去のデータでは、という話で、今年どっちに転ぶかはわかりませんけどね。
でも、そんなこと言ったら、過去の傾向を調べる意味がなくなっちゃいます。それを信じて確率の高いほうを買うか、データは覆されると考えて逆を買うか、それは買う人次第でしょう。
ちなみに私は、今のところ過去の傾向に従って確率の高いほうを買おうと思っています。そうやって買ったときの私の勝率は? それは何とも申し上げられません!
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矢野吉彦
テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。
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