折り合い自在のレース巧者/日本ダービー

2015年05月30日(土) 18:00


この1ヶ月半で大きく成長

 桜花賞とオークスは、大きく距離が異なるので、同じ角度からの視点には一線を画す場合もあるが、牡馬の春の2冠はほぼ同じ距離区分。したがって、皐月賞のゴール直後、「日本ダービーでは(も)、あの馬を買いなさい」とささやいてきた自分の声を大切にするのが最強の馬券作戦。

 自分の素直な感覚が思い出せなかったり、あるいは、それに従って連続して日本ダービーが外れるようだと、抱える問題は大きい。打開策も、治療薬もない危険がある。

 皐月賞では3番人気にとどまったが、今回は文句なしの1番人気になるドゥラメンテ(父キングカメハメハ)は、皐月賞の直後、多くの人びとが、「いやはや、あんなレース運びで圧勝してしまうとは…。日本ダービーもほぼ決まりだな」と、自分にいい聞かせたに違いない。最初から控えて進み、4コーナー手前でインからぶっ飛んで外まで進路を変えると、勝ったと見えたリアルスティールを瞬時に1馬身半も差し切ったのである。

 最後の2ハロンのレースラップは「11秒4-11秒6」。4コーナーでは少なくとも先頭から6-7馬身はあったから、上がり34秒5で抜け出したリアルスティールは少しもバテていないのに、ドゥラメンテの最後は推定「11秒1-11秒1」に近い。それで上がり3ハロンは33秒9の計算になるが、感覚とすればもっと爆発した印象さえあった。勝ち時計は史上2位の1分58秒2。レース全体バランスは「59秒2-59秒0」であり、はまったもなにもない。ただ、ただ圧勝というしかない。

 当然、あっけに取られたが・・・

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柏木集保

1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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