【ユーイチの眼】『安田記念回顧 ―勝負はほんの一瞬の判断』

2015年06月23日(火) 18:01

祐言実行

▲ヴァンセンヌが宝塚記念回避を表明。前走安田記念の回顧、そして秋への展望を語る

着差が着差だけに…

 今週は、上半期を締めくくる宝塚記念。が、エピファネイアに続き、いったん出走を表明したヴァンセンヌも回避。乗り馬がいない状況になった。この春、騎乗馬がいなかったGIは、NHKマイルCに続き2度目。若いころから、毎年“すべてのGIに乗る”ことを目標のひとつにしているが、これがまた、そう簡単なことではない(2013年は、全GIに騎乗)。

 ヴァンセンヌで挑んだ安田記念は2着。着差が着差(クビ差)だっただけに悔しい思いはあるが、馬は前走の京王杯SCからグンと良くなり、期待通りの走りを見せてくれた。

 返し馬の感触から、チャンスは十分にあると感じていた。ただ、外を回したら厳しいという思いはその前からあり、あらかじめ(松永)幹夫さんには「外は回しません。間を突いていきます」と伝えてあった。あとは、出していって好位を取るか、出たなりでジッとして、馬のリズムに任せて中団〜後方からいくか──。実際、その選択には葛藤があった。自然と壁が作れる内枠だったら、出していったかもしれない。が、外枠だったこと、スタート後に少々置かれたことで、後者を選んだ。

 というのも、もともとすごく折り合いの難しい馬で、以前、阪神の芝1600mで思いっ切り持っていかれたことがあった(2014年12月21日・元町S)。勝つには勝ったが、レース後、松田博資先生に「不細工な競馬したな」と笑われたレースで、自分も素直に「そう思います」と答えたほど。なんせ、・・・

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祐言実行とは

2013年にJRA賞最多勝利騎手に輝き、日本競馬界を牽引する福永祐一。まだまだ戦の途中ではあるが、有言実行を体現してきた彼には語り継ぐべきことがある。ジョッキー目線のレース回顧『ユーイチの眼』や『今月の喜怒哀楽』『ユーザー質問』など、盛りだくさんの内容をお届け。

福永祐一

1976年12月9日、滋賀県生まれ。1996年に北橋修二厩舎からデビュー。初日に2連勝を飾り、JRA賞最多勝利新人騎手に輝く。1999年、プリモディーネの桜花賞でGI初勝利。2005年、シーザリオで日米オークス優勝。2013年、JRA賞最多勝利騎手、最多賞金獲得騎手、初代MVJを獲得。2014年のドバイDFをジャスタウェイで優勝。

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