かなり異質なゴールドシップ

2015年06月27日(土) 12:00


“先輩”たちと比較すると…

 今回は、宝塚記念で史上初の同一平地GI3連覇と歴代トップタイ記録のJRAGI7勝目、同重賞12勝目を目指すゴールドシップの話。過去の“レコードホルダー”と比べると、同馬がいかに特異な存在か、ということを書きます。でも、同馬の実績にケチを付けようというつもりはありませんから、どうか誤解のなきように。

 これまでにゴールドシップが獲得したGIタイトルは、皐月賞、菊花賞、有馬記念、天皇賞・春と2度の宝塚記念です。今回勝てば史上5頭目のJRAGI7勝馬となります。では、“先輩”の4頭はどんなGIを勝っていたでしょうか?以下に並べてみました。

◎シンボリルドルフ=皐月賞、ダービー、菊花賞、有馬記念×2、天皇賞・春、ジャパンC

◎テイエムオペラオー=皐月賞、天皇賞・春×2、宝塚記念、天皇賞・秋、ジャパンC、有馬記念

◎ディープインパクト=皐月賞、ダービー、菊花賞、天皇賞・春、宝塚記念、ジャパンC、有馬記念

◎ウオッカ=阪神ジュベナイルF、ダービー、安田記念×2、天皇賞・秋、ヴィクトリアマイル、ジャパンC

 阪神JF以外はすべて、というウオッカをはじめとして、この4頭はいずれも複数の東京GIを勝っています。一方、ゴールドシップには、東京GIの勝利がありません。さらに、“先輩”たちは6〜7つの異なるGIに勝っていますが、ゴールドシップは5つのレースで6勝。今回、2連覇してきた宝塚記念を勝っても、“新たなタイトル”獲得とはならないわけです。

 勝ったレースが限られているのは、GIだけではなく、重賞に関しても言えます。これまでにJRA重賞で最多の12勝を挙げたのはテイエムオペラオーとオグリキャップの2頭。テイエムオペラオーは前記のGIのほか、毎日杯、京都記念、阪神大賞典、京都大賞典(2回)、オグリキャップはペガサスS、毎日杯、京都4歳特別、ニュージーランドT、高松宮杯、毎日王冠(2回)、有馬記念(2回)、オールカマー、マイルCS、安田記念の計10レースをそれぞれ制しました。

 ゴールドシップが勝った重賞は、先のGIに加え、共同通信杯、神戸新聞杯、阪神大賞典(3回)の計8レース。JRA重賞11勝のうち6勝が阪神、5勝が3000メートル以上のレースというのも、“先輩”2頭とはかなり異質です。

 どれほど阪神コースとの相性がよく、どんなに長距離戦が得意であっても、そこを目標に調整して勝ち切ることはなかなか容易ではないでしょう。ゴールドシップが、(気性的に)“勝って当たり前”とは言えない馬というのは、みなさんもご存知ですよね。さて今回も気分良く走ってくれるでしょうか?

 そうそう、過去の記録をたどっているうちに、できれば同馬には、一度でいいから東京で気分良く走ってくれないかな、と思うようになってきたんですけどね…。

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矢野吉彦

テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。

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