函館2歳Sに向けて

2015年07月03日(金) 18:00


◆今年こそはホッカイドウ競馬所属馬になんとか期待したいところ

 6月30日、日本で最初に行われる2歳重賞、栄冠賞(1200m)が門別競馬場で行われた。直線を向いて先頭に立っていたのはモダンウーマンだったが、4コーナー内ラチぴったりをまわり、直線で外に持ち出して差し切ったのがタイニーダンサーで、3馬身差をつけての完勝。角川秀樹厩舎、サウスヴィグラス産駒、グランド牧場のオーナーブリーディングホースによるワンツーという、ホッカイドウ競馬の2歳重賞らしい結果となった。

 JRAで日本ダービーの翌週から2歳新馬戦が始まるようになって今年で4年目。JRAでの最初の2歳重賞・函館2歳Sの時期も繰り上がり、それにともない栄冠賞もそれまでより1週繰り上げられた。かつてホッカイドウ競馬所属馬が、最初に中央の舞台で目標とする2歳オープンのラベンダー賞は廃止され、6月までに門別で行われるウィナーズチャレンジ競走2戦と栄冠賞の勝ち馬、計3頭に函館2歳Sへの出走権が与えられるようになった。

 今年最初に行われたウィナーズチャレンジ(6月11日、1200m)を勝ったのは、牝馬のリンダリンダ。父はフレンチデピュティで、母クリムゾンルージュは重賞勝ちこそなかったものの、栄冠賞3着のあと船橋に移籍してマリーンC2着、TCK女王盃とスパーキングレディーCでそれぞれ3着と、ダートグレードでも上位を争った活躍馬。リンダリンダのひとつ上の全姉ルージュロワイヤルは昨年の栄冠賞4着で、今年新設された門別の牝馬重賞ヒダカソウカップを制していいる。

 6月25日のウィナーズチャレンジ(1700m)は門別名物(?)の霧のなか、ひとつ前の第9レース、残りの11、12レースが中止という状況で行われた。霧の中から直線で抜け出してきて、2着に7馬身差圧勝となったのは、今年の新種牡馬ダノンシャンティ産駒の牝馬ラプレシオーサ。すでに508kgという大型馬で、フレッシュチャレンジを勝って中1週での出走ながら、「こんなに(馬が)変わると思わなかった」と、管理する田中淳司調教師が驚いていたほどのレースぶりだった。

 ちなみに栄冠賞を制したタイニーダンサーは、6月11日のウィナーズチャレンジでリンダリンダに2馬身差で2着と敗れていたものの、巻き返しての勝利だった。

 それぞれのレース直後の話として、リンダリンダとラプレシオーサは、函館2歳S出走へ前向きな様子。栄冠賞を制したタイニーダンサーは、血統的なところから未定とのこと。

 2歳戦の時期が繰り上がってから過去3年の函館2歳Sで、ホッカイドウ競馬所属馬の入着は、2013年ハッピースプリントの5着のみ。かつてはJRAに比べて2歳戦の始まる時期が2か月ほども早かったホッカイドウ競馬の2歳馬は、それが大きなアドバンテージとなって夏のJRA北海道シリーズで活躍した。しかし近年ではJRAデビューの2歳馬も仕上がりが早く、ホッカイドウ競馬所属馬はなかなか勝つことができなくなっている。今年こそは、なんとか期待したいところ。

 ところで、函館2歳Sへの出走権がかかった上記3レースの上位5着馬の所属厩舎を着順どおりに並べてみると……

 6/11 角川、角川、角川、田中淳、川島
 6/25 田中淳、田中淳、角川、川島、小野
 6/30 角川、角川、田中淳、角川、田中正

 角川秀樹調教師、田中淳司調教師の2人で15頭中11頭、しかも上位を完全に分け合う形。近年の傾向どおりとはいえ、両厩舎の2歳馬の質と量は圧倒的だ。

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斎藤修

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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