本来のシャープな動き/新潟日報賞

2015年08月14日(金) 18:00


混戦必至のハンデ戦

 好天が続く夏の新潟。速い時計が記録されているが、4日間を終えたところで、芝のインを通っての逃げ切り(途中から)は、2歳の新馬戦で1回あっただけ。

 2歳の短距離戦を含めても、「行ったきり」の1着、2着は、ほんの1例か2例が該当するのみ。この夏の新潟は、高速レースの連続した数年前と異なり、クッション性の高い柔らかい芝に変わっている。それが、はっきりレース結果に結びついている。

「差し=追い込み馬」が有利というのではなく、軽快なスピード能力だけでは乗り切れない芝なのである。パンチがあれば粘って押し切ることも、逆に外から追い込むことも最初から可能。痛みにくいエクイターフ部分を含む野芝だけの新潟は、開催が進んでもほとんど変化しないとみられている。

 見た目よりタフで柔らかい芝コンディションを裏付けるように、先週はステイゴールドの産駒が4頭も勝っている。うち3頭が差し=追い込みだった。また、必ずしも軽いスピード系とはいえない「ハーツクライ、スペシャルウィーク、ジャングルポケット、タニノギムレット」などの産駒も、この夏の新潟では「速さ負け、素軽さ負け」しないで、開催の最初から勝ち馬を送っている。

 ここはハンデ戦の1400mになって2年。連対馬は「2、12」、「6、8」番人気馬であるように、とにかく難解。13年など3着以下は「6、15、11」番人気だった。

 人気薄コレクターアイテム(父ハーツクライ)の大駆けを狙いたい。阪神JF、3歳春のクイーンCをともに1番人気だったあと、しばらく大スランプに陥ったが、距離延長が合わなかった。芝1400mに限ればこの1年【1-1-0-5】。決して早熟タイプがピークを過ぎたわけではなく、全7戦を「1分21秒6」以内で乗り切り、1分20秒7が2回もある。前回(昨秋)の1400m勝ち(10番人気)は3ヶ月の休養明けだったが、今回も入念に乗り込んで当時と同様、本来のシャープな動きに戻っている。

 最近こそスタートが決まらず後方差詰めになっているが、もともとは好位抜け出しの自在型。今春の1600万特別(京都)を1分20秒7で乗り切った際は、出負けしてもまれ、スムーズに動けなかったが、それでも勝ち馬との差は0秒3(別定55キロ)。

 今回はハンデ戦で52キロ。立て直して過去2勝の実績があるポン駆け、落ち着きがある中間の気配から、出負けの危険は少ないと考えたい。

 もちろん、ツボにはまれば…の大駆け狙い。混戦必至のハンデ戦。人気の圏外と思えるので、少額投資なら買う価値はある。

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柏木集保

1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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