隠れた快速スピードが全開/スワンS

2015年10月30日(金) 18:00


例年通りの時計勝負

 京都は今週まで「Aコース」使用だが、先週の1000万下1200mの勝ち時計が「34秒0-33秒6」のスローにも近いバランスで「1分07秒6」。2歳未勝利の芝1800mで楽々と「1分47秒7」が記録されるほど時計が速い。

 地盤のクッション性に自信をもつ京都は、他場に比べエアレーション作業が軽度なのだろう。他場とは一線を画す高速レースが続いている。

 このレースは例年「1分20秒台前半」がもっとも多いスピード能力最優先のレースであり、今年はその1分20秒台前半の持ちタイムを持つ馬が「7頭」もいる。行けば速いエーシントップテイエムタイホーが休み明けで、本来のスピード発揮に疑問もあるが、この組み合わせで不自然な緩いペースはありえず、復活コパノリチャードも1400mなら先行できる。例年通りの時計勝負だ。  芝1400mの持ち時計「1分22秒1」は、ここでは14番目の遅いタイムになるが、この中間の熱心な調教と、キビキビした動きが光る3歳牝馬アルビアーノ(父ハーランズホリデイ)に期待したい。時計の裏付けがないのは、芝の1400mを1戦しただけで、あとの5戦は折り合いを求められた1600m以上だから仕方がない。新馬1600mの後半3ハロンは馬なりで「11秒8-11秒4-11秒6」。2戦目の1400mもやっぱり引きつけて逃げ、最後は馬なりで「11秒5-11秒2-11秒9」。前者は急坂の中山、後者も長い坂のある東京である。

 今度は初めて直線平坦のコース。前述のような高速馬場。ちょっと弱気というか、控えめに2-3番手追走が続くが、今回はたとえ2番手でもこの距離だからペースはさして落とさない。いよいよ隠れた快速スピードが全開する可能性がある。

 血統図の3代前に並ぶ4頭の種牡馬は「ストームキャット、アファームド、ファピアノ、ダンチヒ」。拡大するとレイズアネイティヴの父ネイティヴダンサーが「7.6×6.6.6」で登場するスピード型アメリカ血統の典型。そこにマームードのクロスが重ねられている。圧倒的なスピード系であり、1400mも、坂のない直線も大歓迎だろう。

 鞍上の柴山騎手も、時計勝負が分かっているだけに、さすがにここで引くとは思えない。だいたい差して鋭く伸びるタイプではない。

 昨年、1分20秒4で突っ込んでいるフィエロ、一昨年に1分20秒8で逃げ切っているコパノリチャードが本線。ビシビシ追ってきたティーハーフが最大の伏兵か。

バックナンバーを見る

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

柏木集保

1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

関連情報

新着コラム

コラムを探す