勝ち馬の快挙と、冷めたスタンドを考える/天皇賞・秋

2015年11月02日(月) 18:00


古馬中距離界のレベルは“物足りない”

 5歳牡馬ラブリーデイ(父キングカメハメハ)が、今年2400m以下の重賞【6-0-0-0】の素晴らしい成績となった。陣営は、決して適した距離ではないが、「折り合ってレースを進めることを覚えなければならない」と、3000mの阪神大賞典(6着)、3200mの天皇賞・春(8着)にも挑戦している。たしかにそこでは結果が出なかったが、苦しい長丁場を経験しながら我慢するレースを覚えたことが、中距離GIの頂点に立つタフな条件のGI宝塚記念2200m、東京2000mの天皇賞・秋の勝利につながったのである。

 年間に平地重賞「6勝以上」は、8勝したテイエムオペラオー、7勝したオグリキャップなどを筆頭に、6勝のオルフェーヴル、シンボリルドルフ、ナリタブライアン、ジェンティルドンナ…など歴代の名馬と並ぶ、歴史的な快挙達成である。

 このあと、ラブリーデイは「ジャパンC」に出走を明言している。その後の状況しだいでは、「有馬記念」も視野に入るだろう。チャンピオン・ラブリーデイのこのあとに期待したい。

 ただ、ラブリーデイ自身がどうも地味なキャラクターであるせいか、重賞4連勝を達成し、1番人気でGI天皇賞・秋を制したにしては、人びとの反応は冷めていた。ラブリーデイを称え、さらなる快進撃に期待しながらも、ここは絶賛コーナーではないので、なぜ、あまり盛り上がらないのかも考えたい。

 それを言っては身も蓋もないストレートな結論を言ってしまえば、決してそんなに強いとは思えないラブリーデイに重賞を6つも勝たれるライバルが弱すぎるとしかいいようがない。現在の古馬中距離界の力関係と、物足りないレベルを否定できない。

 この日、場内ではアメリカで久しぶりに出現した3冠馬アメリカンフェイローのBCクラシック独走のシーンが流されていたことも少し関係する。納得の迫力があった。

 9Rの2000m精進湖特別(1000万下)で、13番人気、15番人気、9番人気の3頭が先行。前半1000m通過「60秒2」という緩い流れだったにもかかわらず、4番手以下は最初から大きく離れてしまい、「なにかあったのか」、M.デムーロ騎手が振り返って勝った3頭だけのレースがあった。あまりにもお粗末なレースに場内のファンは白けた・・・

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柏木集保

1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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