2015年12月19日(土) 12:00
さて、依然としていい線行っているわけですから、今週もやりますよ。朝日杯フューチュリティSのデータ分析です。でもその前に。ご存知のとおりこのレースは、去年から阪神開催に変わりました。ということは、今後、阪神ジュベナイルフィリーズと同じような傾向が現れるかもしれない、と思ったのです。
そこで、去年の1〜3着馬の成績を調べたら、次のようなことがわかりました。まず1着のダノンプラチナは、デビュー以来3戦すべてで上がり600メートルのタイムがベスト3入りしていて、2着のアルマワイオリと3着のクラリティスカイは芝1800メートルのレースを経験済み。ダノンプラチナとクラリティスカイは東京のレースに出ていました。
去年1年の結果だけで決めつけるのは無謀ですが、上がり600メートル全戦ベスト3入りと、芝1800メートル以上または東のレースの出走経験は、朝日杯でも重要になってくる可能性はあると思います。上がりタイムは能力の証し。クラシックを狙える強い馬が早いうちに長距離戦や東京(ダービーの舞台)のレースを使った上でここに出てくることは十分に考えられますからね。
実は、過去10年の朝日杯で1〜3着に来た30頭のうち、19頭が芝1800メートル以上のレースを経験していて(1〜3着独占3回)、23頭が東のレースに出たことがありました(同4回)。これは中山開催で関東馬が優勢だったせいでもありますが、ここ10年で優勝した関西馬5頭も、すべて京王杯か東スポ杯、新潟2歳Sを走った馬(中山の経験は不問というのが注目点)でした。さらに、この2つの条件に当てはまる馬は、それぞれ毎年必ず3着以内に来ています。
ただし、上がり600メートル全戦ベスト3入りはあまり気にしなくていいみたい、なんです。優勝馬10頭中、これに当てはまったのは5頭。半分の馬は当てはまりません。これは、牝馬らしい切れ味も要求される(と考えられる)阪神ジュベナイルフィリーズとはレースの性格が違うから、かもしれません。
それともう1つ、1600メートル未満のレースしか経験がない馬は、ここ10年で1勝2着5回。そういう馬は、同期間の阪神ジュベナイルフィリーズでもやや苦戦気味でしたから、やはりこのレースでも過信は禁物でしょう。
さて今回、芝1800メートル以上か東(関西馬は京王杯か東スポ杯)のレース経験では、タイセイサミットが浮上してきました。同馬は過去4戦の上がりもすべてベスト3入りしています。穴馬にいかがでしょう?東京の重賞を走ったイモータルや、阪神開催に変わって今後このレースでの活躍が期待されるデイリー杯組のエアスピネルとシュウジも消せませんけどね。
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矢野吉彦
テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。
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