2016年02月13日(土) 12:00
デビューから無敗できさらぎ賞制覇というのは、このところの“トレンド”。おととしのトーセンスターダム、去年のルージュバックに続いて、今回で3年連続となりました。でも、トーセンスターダムはその後の皐月賞が11着。さらにダービー16着、菊花賞8着と、クラシックではサッパリでした。また、去年のルージュバックは、1964年のフラミンゴ以来51年ぶりとなる牝馬の優勝で話題となり、桜花賞、オークスで1番人気に推されましたが、それぞれ9着、2着に敗れています。サトノダイヤモンドの勝ち方は、その2頭とは段違いとおっしゃる方は多いでしょうが、さぁ、同馬の今後はどうなるでしょうか?
ちなみに、そのほかのきさらぎ賞無敗優勝馬には、74年のキタノカチドキ、96年のロイヤルタッチ、01年のアグネスゴールドがいました。しかし、それらがダービー馬となった例はなく、クラシックを制したのもキタノカチドキだけ(皐月賞、菊花賞に優勝)。サトノダイヤモンドにとっては、むしろこれからが問題、なのかもしれません(べつに同馬にケチを付けているワケはないですよ)。
一方で、朝日杯の無敗優勝馬は、1965〜2014年の50年間に16頭現れています。その中には、かつてはクラシックに出られなかった外国産馬もかなりいるのですが、ダービーを制したのはたった1頭(ミホノブルボン=91年朝日杯→92年ダービー)しかいません。史上初めて2戦2勝で朝日杯に優勝したリオンディーズも、これから先、不安なしとは言い切れないと思います。
そして今週は共同通信杯。ハートレーが勝てば、無敗の優勝馬となります。こちらを無敗で制した馬には、76年のテンポイント、84年のビゼンニシキ、85年のサクラユタカオー、98年のエルコンドルパサー、07年のフサイチホウオー、去年のリアルスティールがいますが、この6頭からもダービー馬は出ていません。というより、クラシックを勝った馬が出ていないのです。
まぁなにしろ、デビュー以来無敗で皐月賞制覇とかダービー優勝とかいう快挙は、めったに達成できるものではありません。この時期の3歳重賞を無敗で制した馬に高い評価が与えられるのは当然のこと。でも、そういう馬同士が皐月賞やダービーで直接対決すれば、たとえその中のいずれかが勝ったとしても、そのほかの馬には土がつくことになるわけです。最初の無敗対決の場が弥生賞だったので、例にあげるのはいかがなものか、という思いもありますが、ビゼンニシキとシンボリルドルフの“その後”は1つの象徴でもあるでしょう。現時点での無敗馬も過信は禁物。まずは無事にクラシックを迎えてほしいですね。
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矢野吉彦
テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。
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