上位人気馬2頭に意外な死角/NHKマイルC

2016年05月07日(土) 18:00


平均ペースより速くなる可能性

 今年は、上位人気馬2頭に意外な死角がある気がする。その死角は小さいかもしれないが、まず、メジャーエンブレム。素晴らしい牝馬であるのは間違いないが、2月のクイーンCの1分32秒5は、馬場差が大き過ぎる。同日の古馬1000万下が1分45秒5。このレースの勝ち馬は「0秒6」だけ持ち時計を短縮したにすぎないが、スローに近い流れなのに、他の上位馬は「1-2秒」も持ち時計を短縮した。マイルの3歳未勝利の勝ち時計は「1分34秒3」。あれからまだ未勝利にいる馬が複数、1分34秒台で乗り切っている。

 今年は、高松宮記念の週の中京、阪神の3月、そしてあの日の東京など、急に高速の日が出現している。クイーンCの「46秒1-46秒4」=1分32秒5は素晴らしいバランスラップだが、マイルで最少でも「1秒-1秒2」くらいの馬場差があったろう。あの時期に「3歳牝馬が1分32秒5で快勝は、無条件にすごい」と強調する声があるが、1分32秒5といえば、馬場差はあるとはいえ、あのキングカメハメハがNHKマイルCを圧勝の時計である。そんな牝馬が、出足もう一歩、ルメールが弱気だったくらいで、桜花賞で4着に沈むだろうか?

 クイーンCの実際の時計は、1分33秒6-7だった可能性が高い。それでも素晴らしいのだが…。また、逆にあの時計は本物だとするなら、もっと危険である。わたしたちは、まだ未完成な3歳馬がNHKマイルCを高速タイムで乗り切った結果、故障したり、大スランプに陥ったケースをイヤというほど知っている。限界の能力と、限界の活力を爆発させて消耗しないと、東京のマイルを若い馬が快時計では乗り切れない。

 メジャーエンブレムが高い能力を持ち、今度こそ、と期待されるのは当たり前である。調教も前回には少し見劣るものの、力強く動いた。だが・・・

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柏木集保

1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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