2016年09月10日(土) 12:00
さてこの秋は、国内は当然として、海外の競馬にも今まで以上に注目しなければなりません。なんてったって、日本に居ながらにして凱旋門賞の馬券が買えるわけですからね。
11日にはその前哨戦となるニエル賞・GII(3歳牡・牝)が行われ、マカヒキが出走します。8日に出走メンバーが確定しましたが、なんとわずか6頭立て(その後1頭が出走を取り消し5頭立て)。しかも、マカヒキ以外の5頭には現時点で凱旋門賞の出走登録がなく、重賞を勝ったことがあるのもミッドターム(3戦2勝、今年4月に英サンダウン競馬場のクラシックトライアル・GIIIで1着)だけ、あとは準重賞や条件戦の勝利しかない馬ばかりという、ハッキリ言って冴えない顔ぶれになってしまいました。
こんなメンバー構成のレースを走った後に、強豪揃いの凱旋門賞に出たら、馬がビックリしちゃうんじゃないかと心配になります。なにはともあれ、マカヒキには堂々とした勝ちっぷりを見せつけてほしいものです。
一方、7日更新の合田直弘さんのコラム「世界の競馬」にもあったように、10日にレパーズタウン競馬場で行われる愛チャンピオンS・GIには超豪華なメンバーが顔を揃えました。
同レースの1番人気はマインディング。以下、ハーザンド、アルマンゾル、ファウンドなどが続いています。この4頭のプロフィールについては合田さんが紹介しているのでここでは触れませんが、これらはいずれも凱旋門賞の前売りオッズ(英ウイリアムヒル社)で上位人気に推されています。
さらに、昨年の香港ヴァーズや今年のキングジョージを制したハイランドリールも出走を予定。このレースに参戦するかどうかで注目を集めていたニューベイも正式にエントリーしました。この2頭も、今回のレースだけでなく凱旋門賞でも穴人気になっていて、マカヒキのライバルとなる可能性があります。
マカヒキとポストポンド(去年のキングジョージ以降、今年のドバイシーマクラシックを含め、重賞6連勝中)、ラクレッソニエール(今年の仏2冠牝馬。デビュー以来8戦8勝)を除く凱旋門賞有力候補がこぞって出走する愛チャンピオンS。ひょっとしたら、このレースの勝ち馬が「今季世界最強」と言われるようになるかもしれません。
これは、ニエル賞とともに6頭立てとなったヴェルメイユ賞、たった4頭立てのフォワ賞とはあまりにも対称的。世界競馬の主流は2400メートルではなく2000メートルになっている、っていうことなんでしょうか?
いっそのことこのレースの馬券を売ってほしいと思うと同時に、猫も杓子も凱旋門賞というのではなく、こういうレースにこそ日本馬に出てもらいたい、とも思えてきました。
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矢野吉彦
テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。
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