守りの姿勢になる立場ではない/日経賞

2017年03月24日(金) 18:00


◆G2が多頭数で行われるのはなにより

 移動柵設置とフルゲートが関係するが、2500mの別定G2の日経賞がフルゲート16頭立てで行われるのは、史上初のこと。今年も出走するゴールドアクターが勝った昨16年は9頭立てだった。今年は1月のAJCC(別定G2)も17頭立てだった。古馬の中〜長距離路線の層が厚くなったわけではないが、ドバイへ多くの馬が遠征しているにもかかわらず、G2が多頭数で行われるのはなによりだろう。  そのゴールドアクター(父スクリーンヒーロー)は、昨年はベースの56キロにG1勝ち(1年間)の2キロが加算されて58キロだったが、今年は57キロで出走できる。4歳ディーマジェスティ(父ディープインパクト)も57キロだが、4歳牡馬の負担重量ベースは55なので、皐月賞制覇から1年経っていないからの2キロ増である。

 小さな数字だが、比較の上でゴールドアクターは少し有利といえる。また、昨年は有馬記念連覇を目ざし大きく注目された1年間だったから、コンビの吉田隼人騎手、消極的ということはないが、多分に守りの騎乗と映ったレースもなくはなかった。

 だが、今年はもう6歳。守りの姿勢になる立場ではない。攻めなければビッグレースを制したチャンピオンでなくなってしまう。少し気楽な立場にも戻っている。1番の好スタートから、好位で流れに乗りキタサンブラック(当時3歳)などを自力スパートで交わした15年の有馬記念を思わせるようなレースを期待していい。ポン駆けは仕上がりもう一歩で11番人気だった新馬戦を別に、【5-0-0-0】である。ビシッと追った本数も動きも昨年の日経賞以上と思える。

 ぜひ、立ち直って欲しいのは4歳ディーマジェスティ。3歳時の昨年は体質の弱さや発熱などがあり、完調と思える状態での出走は少なかった。今回は3週連続好タイムで追い切られ、この馬とすれば上々の仕上がりは間違いない。コンビの蛯名騎手、エージェント関連もあったりするのかここまでスランプ状態で、今年に入り【5-13-13-111】。とても本来の蛯名騎手とは思えない成績にとどまっているが、ディーマジェスティとともに復活したい。

 サウンズオブアース、前回G1を勝ったゴールドドリームが出走しているのにドバイに行っていないM.デムーロ騎手のレインボーラインを含めた3つ巴の様相だが、怖いのは横山典弘騎手にチェンジしてきたナスノセイカンの本格化か。連穴が4歳の上がり馬シャケトラジュンヴァルカン、転厩したアドマイヤデウスまで。

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柏木集保

1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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