【ヤングジョッキーズシリーズに向けて】2016年新人賞ダブル受賞!名古屋・加藤聡一の実力

2017年05月30日(火) 18:00

加藤聡一騎手1

デビュー年から56勝!ロケットスタートを決めた加藤聡一騎手をご紹介します


「川西先生には感謝してもし切れません」

赤見:加藤騎手は去年の4月にデビューして、初騎乗初勝利を果たすとそのままの勢いで56勝。日本プロスポーツ大賞新人賞、NARグランプリ2016優秀新人騎手賞をダブル受賞しました。騎手として、ロケットスタートを決めましたね。

加藤:いやいや、本当に馬と関係者の方々のお陰です。たくさんのいい馬たちに乗せていただいて、とても感謝しています。新人賞は目標にしていたので、ダブルで受賞できたことは本当に嬉しいですね。ただ、チャンスをいただいたのに勝ち切れなかったレースもあるので、もっともっと腕を磨いて早く上手くなりたいです。

 (所属の)川西先生からは基本的に勝っても褒められませんし、毎日何かしら怒られてます(苦笑)。でも先生には本当に感謝しています。僕が教養センターから帰って来た時、他の厩舎を一緒に回ってくれて、「乗せて下さい」って頭を下げてくれたんです。それに、自厩舎の馬で人気を背負うような馬にも乗せてもらって、すごくいい経験をさせていただいてます。感謝してもし切れません。

加藤聡一騎手2

新人賞ダブル受賞も「もっともっと腕を磨いて早く上手くなりたい」

赤見:名門・川西毅厩舎に所属しているわけですが、どういう経緯で所属が決まったんですか?

加藤:僕は一般家庭で育ったので直接縁はなかったんですけど、父が僕のためになんとかしたいとがんばってくれて、知り合いを辿っていって紹介してもらいました。父は昔騎手を目指していたんですけど、結局は別の道に進んだんです。僕が騎手を目指したきっかけも、小さい時から父に「馬に乗ってみれば?」って言われていて、中学の時に試しに乗ってみたら楽しくて。

 そこから中京競馬場の少年団に入って土日はみっちり乗馬をして、平日はお祭り用の馬を飼育しているところを手伝ったりしていました。それで、中学3年からJRAを受けたんですけど落ち続けて…。馬術部のある高校へ進学してからも毎年受けたんですけど…。その時は相当凹みましたね。

 高校3年生の時、地方を受けるか、馬術で大学に行くか、うちは美容院をやっているので美容系の専門学校に行くかの3択で考えたんです。父からは、「ジョッキーになるのは今しかできないだろ」って言われましたし、これでダメならという気持ちで地方を受けて、合格した時は嬉しかったです。

赤見:1年目は素晴らしい成績で終えて、今年2年目になったわけですが、5月24日に80勝目を挙げて、名古屋の規定だといよいよ減量がなくなりますね。

加藤:そうですね。減量がなくなってきて、思うようにレースできてないという自覚はあります。スタートとかはそうでもないんですけど、終い残るか残らないかは違うと思います。今まで逃げて勝っていたのが、2キロ減になってハナ差やアタマ差で差されるようになって、1キロ減になって、ハナ差だったのが完全に交わされちゃうっていう。

赤見:2年目の壁という感じですかね?

加藤:去年は逃げてばっかり勝っていましたし、川西厩舎の強い馬に乗せてもらって勝っていたので、自分からアクションを起こすっていうことがあまり必要なかったんです。ただ、だんだん減量が減って来て、自分からアクションしないと動かない馬にも乗せてもらえるようになって、今は自分の下半身の弱さを感じています。

 去年たくさん勝たせてもらって、新人賞も獲らせてもらって、今年もそれくらい勝たなきゃって思いますけど、実際は思うようにいかないです。川西厩舎にはいい馬がたくさんいて、ここぞの時に乗せてもらえないのは僕に原因があるわけで。上手くなれば、結果出せば乗せてもらえるようになるかもしれないので、努力して早く上手くなりたいです。

加藤聡一騎手3

「自分からアクションしないと動かない馬にも乗せてもらえるようになって…」

赤見:では、YJSのお話を伺います。5月10日に行われた笠松TRは、10着2着で現在地方西日本の3位につけています。レースは普段と違いましたか?

加藤:そんなに変わらなかったですけど、他の競馬場で乗っている騎手ばかりなので、先輩たちとのレースよりは(2戦目で)楽にハナに行けました。たまたまかもしれないですけど、みんな手探りな面がある中で、僕は笠松でよく乗せてもらっているので、その経験は大きかったと思います。

赤見:中央地方の若手騎手が集まって戦うというのは、見ている方も新鮮で楽しいです。

加藤:JRAの若手の方と戦えるのはなかなかない機会ですし、みんなすごくがんばっているので、その中で戦えることは自分の腕試しじゃないですけど、とても楽しみにしてました。実際に戦ってみて、ペース配分や追い方など上手い人もいますし、ものすごく刺激を受けましたね。もっともっと努力しないといけないと感じてます。

赤見:ファイナルは大井と中山ですよ。名古屋の騎手にとっては、なかなか遠征のチャンスがない場所ですよね。

加藤:本当にそうですね。特に中央に行く機会なんてないですから、まさか2年目でこんなチャンスをいただけるなんて思ってなかったです。がんばれば大井と中山でレースができるなんて、本当に夢みたいですね。芝に乗ってみたいので、もし乗れたらすごくいい経験になると思います。年末でお客さんいっぱいいるでしょうし。絶対に結果を出して、ファイナルに行きたいです。

赤見:6月8日には、地元名古屋でトライアルが行われます。意気込みをお願いします。

加藤:地元でのレースは大きなアドバンテージだと思っています。コースも知っていますし、馬も乗っていなくても知っているメンバーなので。笠松でなんとか次に繋げられる位置にいられたので、名古屋ではしっかりと結果を出してファイナルに繋がる競馬がしたいです。

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常石勝義

常石勝義
1977年8月2日生まれ、大阪府出身。96年3月にJRAで騎手デビュー。「花の12期生」福永祐一、和田竜二らが同期。同月10日タニノレセプションで初勝利を挙げ、デビュー5か月で12勝をマーク。しかし同年8月の落馬事故で意識不明に。その後奇跡的な回復で復帰し、03年には中山GJでGI制覇(ビッグテースト)。 04年8月28日の豊国JS(小倉)で再び落馬。復帰を目指してリハビリを行っていたが、07年2月28日付で引退。現在は栗東トレセンを中心に取材活動を行っているほか、えふえむ草津(785MHz)の『常石勝義のお馬塾』(毎週金曜日17:30〜)に出演中。

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