“大井の帝王”の7000勝達成に「偉大さを改めて感じた」&東京ダービーの意気込み

2017年06月05日(月) 18:01

笹川翼

▲的場文男騎手が地方通算7000勝を達成、写真はセレモニーにて妻・尚子さんと

“大井の帝王”こと的場文男騎手の地方通算7000勝達成に沸いた5月。場内の異様な盛り上がりに「改めて偉大さを感じた」という笹川騎手が、的場騎手とのあるエピソードを明かします。さらにレイデオロの優勝で幕を閉じた日本ダービーの話題から、初の佐賀騎乗、2度目の韓国遠征、7日(水)に迫った東京ダービーへの意気込みも!(取材・文:赤見千尋)


「頑張っていればいいことある」

――5月17日の川崎マイラーズで的場文男騎手が地方通算7000勝を達成しました。同じレースに騎乗していましたが、どんな風に感じましたか?

笹川 的場さんが騎乗したリアライズリンクスは力のある馬ですけど、この時はそこまで人気しているわけではなかったので(5人気)、まさか勝つとは思っていなかったです…。さすが的場さんですよね。レースはちょうど僕の目の前くらいにいたんですけど、本当は僕もあそこに行きたかったんです。的場さんは勝負所で最内から上がって行って、僕の馬は砂を被ったり揉まれたりすることが苦手であんまり内に入れないでと言われていたので外から行って。結果的にはコース取りの差が出ました。直線で前を見た時にはもう的場さんは抜けていたので、これは勝つなと思いました。

――場内はものすごい盛り上がりでしたね。

笹川 すごかったですね。的場さんがウイニングランでお客さんの方に行った時には歓声が半端じゃなかったです。これまで大きなレースに乗せてもらったり近くで見てきたりもしましたけど、とにかく盛り上がり方がすごくてびっくりしました。7000勝という数字の偉大さを改めて感じましたね。

笹川翼

▲7000勝達成直後のウイニングランで観客の近くを通る的場騎手(撮影:武田明彦)

――的場騎手には何かお声掛けはしましたか?

笹川 もちろん、レース直後におめでとうございますって言いましたけど、ちょっとそれどころじゃないって感じでした(笑)。お客さんもですけどマスコミの方も多かったですし、みんなとにかく興奮している感じで。なかなか見られない光景ですから、その場に居られて良かったです。

――7000勝という数字はいかがですか?

笹川 いや〜、だって年間200勝でも35年かかるんですよ。そう思うととんでもない数字ですよ。簡単に目指しますとは言えないですね。僕はまだデビュー5年目で400勝させてもらったところなので、ちょっとでも近づけるように頑張ります!

――的場騎手はどんな存在ですか?

笹川 騎手として本当にすごい方で、成績だけ見れば遠い存在のように感じますけど、普段はめちゃめちゃ気さくに話しかけてくれるんです。というか、誰よりも元気にしゃべってますよ(笑)。すんごく元気ですから。そういうパワーもすごいと思いますね。(大井以外で)競馬が終わってタクシーで帰る時も、たまに一緒の車になるんですけど本当に元気で。よく、「頑張っていればいいことあるから」って言ってくれるので、その言葉は励みになりますね。

――続いてダービーの話題をお聞きしていきます。まずは日本ダービーですけれども、注目している馬はいますか?(※取材は日本ダービー開催前)

笹川 サトノアーサーは別路線ですけど、これまでダービーを見据えた競馬をしてきたと思うので、それがダービーの舞台でどうかなっていうのは気になります。かなり混戦でどの馬にもチャンスがあると思いますし、馬場や展開でも変わって来そうですよね。

――もし乗れるなら、どの馬に乗りたいですか?

笹川 どの馬も素晴らしい馬ですから乗れたら嬉しいですけど。その中でも、そうですねぇ、アドミラブルはすごく素質がありそうなので、ああいう馬には乗ってみたいですね。

――大外枠に入りましたが。

笹川 そこがジョッキーの心理的には大きいですよね。デムーロ騎手がどう考えているか僕にはわからないですけど、大外というのは考えることがたくさんありますから。

笹川翼

▲笹川騎手注目のアドミラブルは上がり最速を記録するも結果は3着(撮影:下野雄規)

――こういう極端な枠に入った時、ご自身の心理はいかがですか?

笹川 僕は大外好きですけどね。一番最後に枠入りするとスタートが決めやすいんですよ。ゲートの中で待たされないし、入ってすぐゲートが開くので、馬も構えないでスッと行けるんです。もちろん、すぐ開かない時もありますし、外枠が不利なコースもあるので一概には言えないですけど。大まかに言って、外枠だと内を見ながら行けるし、被されることがないので自分のペースで行けるかなって思っています。

初の佐賀、2度目の韓国、そして東京ダービーへ

――日本ダービーの日は、佐賀の九州ダービー栄城賞に騎乗していますね。

笹川 前に大井にいたフジノカミワザという馬に乗せていただくことになりました。オーナーから依頼をいただいたんですけど、ダービーの舞台で呼んでもらえるというのは本当に光栄です。僕自身、遠征が久しぶりですごく楽しみですし、少しでもいい結果が出せるよう精いっぱいがんばります(結果は7番人気2着)。

笹川翼

▲7番人気の低評価を覆し、フジノカミワザを2着に導く(写真提供:佐賀競馬)

――さらに次の日曜日(6月4日)は韓国に遠征してThe 25th SBS Sports Sprint(韓国 GIII)に出場するんですね。

笹川 はい。一緒に遠征するキモンアヴァロンには騎乗したことはなかったんですけど、荒山先生に声をかけていただいて、ぜひ行かせていただきたいとお返事しました。韓国は2年前にアジアヤングガンズチャレンジで行ったことがあって、コースも広いし、JRAみたいな雰囲気だと感じました。馬と一緒に海外遠征するというのもなかなかないので、すごく貴重な経験ですから、無駄にしないようにしたいです(結果12着)。

――そして6月7日はいよいよ東京ダービーです。騎乗予定のミサイルマンの様子はいかがですか?

笹川 前回の反省点を考慮して、厩舎の皆さんと話し合って、馬の気持ちを高めすぎないよう気をつけています。今回、僕は中間の追い切りでまだ乗っていないんですよ。僕が乗ると馬がレースを意識して力が入っちゃうので。本追い切りは乗る予定ですけど、今のところ順調に進んでいると聞いています。

――では、東京ダービーに向けて意気込みをお願いします。

笹川 ここ2戦は反省点が真逆なんですけど、まだキャリアが浅い馬ですし、1戦ごとにいろんな反省点が出て来るのは仕方ないというか、当然かなと思っています。こうやってダービーに向けて馬を育てていくというのは、すごく難しいことですが、馬に教えてもらっていい経験をさせてもらってます。東京ダービーは的場さんでさえ勝ってないですから、勝とうと思っても簡単にはいかないレースです。馬の全能力を発揮して、この馬が強いということをもう一度証明したいので、そこだけ考えてベストを尽くせるよう頑張ります!

笹川翼

▲「この馬が強いということをもう一度証明したい。ベストを尽くせるよう頑張ります!」(撮影:武田明彦)

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笹川翼(大井)

1994年7月17日生、新潟県出身。2013年4月7日に米田英世厩舎(大井)からデビューすると初年度から43勝を挙げ、NARグランプリ優秀新人騎手賞を獲得。重賞勝利に勝島王冠(15年)、船橋記念(16年)、ハイセイコー記念(16年)。

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