【ヤングジョッキーズシリーズに向けて】横山家三男、武史の闘い

2017年06月13日(火) 18:00

横山武史騎手1

地方競馬初騎乗で初勝利を挙げた横山武史騎手にインタビュー!


「自分が騎手になって、横山典弘のすごさを実感」

赤見:まずはヤングジョッキーズシリーズ(以下YJS)についてお聞きします。初参戦の川崎トライアルでいきなり勝ち星を挙げましたね!おめでとうございます。

横山:ありがとうございます。地方で騎乗すること自体初めてで、初騎乗初勝利をさせていただき、すごく嬉しかったです。地方は小回りで難しいというイメージがありましたが、とてもいい馬に乗せていただいたので、思っていた以上に乗りやすかったですね。

赤見:好位の内からの競馬になりましたが、振り返っていただけますか?

横山:位置はどこでもよかったんですけど、馬がリズムよく運べればいいなと思っていました。勝負所から徐々に上がって行って、道中は自分からグイグイという感じではなかったんですけど、直線で外に切り返して仕掛けたら一気に伸びてくれました。伴先輩が逃げていたんですけど、先輩に並んだ時には脚色が違ったので、「これは勝ったな」と。追いだした時の反応がすごくよくて、「なんだ、このいい馬!」って思いました(笑)。

赤見:今年から始まったYJSですけれども、今後は盛岡(8月15日)、浦和(11月22日)で騎乗予定です。

横山:自分がデビューした年にこういうシリーズが始まって、チャンスが増えたことはとてもありがたいです。なかなか地方に行くチャンスはないですし、盛岡だったり、僕は行けないですけど門別もあるじゃないですか。そういう競馬場は本当に行くチャンスが少ないので、これをいい経験にして、技術を磨きたいと思います。

赤見:続いて、JRA初勝利の時のお話を伺います。4月16日福島9R、1番人気のヒルノサルバドールに騎乗して逃げ切り勝ちでした。

横山:あれはひどい競馬ですね…。もちろん勝ったことは嬉しいですけど、ひどい競馬をしてしまいました。勝ったということが嬉しいだけで、内容に関しては一つも満足していないので。最後は後ろから迫って来て焦りましたし、馬に「がんばってくれ」と思いながら乗っていました。本当に馬のお陰ですし、乗せてくれた関係者の方々に感謝しています。前日に(木幡)育也も勝ってましたし、早く勝ちたいなという想いが強くて。内容はダメダメでしたけど、一つ勝ったことでホッとしました。

赤見:他に印象に残っているレースはありますか?

横山:新潟で乗せていただいたフォースフィールド(5月21日8R/11番人気2着)です。栗東の馬なので調教で乗るチャンスはなかったんですけど、厩務員さんから、「ある程度早めに仕掛けても長くいい脚を使ってくれるから」って聞いていて、向正面から促そうと思っていました。4コーナーと直線で壁になった場面もあったんですけど、それがいい溜めになったのかよく伸びてくれました。

 ただ、欲を言えばもう少しスムーズに行けてたら…。勝った馬は強かったですけど、もう少し差は詰められたんじゃないかなと思います。できれば勝ちたかったですけど、関係者の方々も喜んでくれたので嬉しかったです。

赤見:レース後などに、横山典弘騎手からアドバイスをもらうことはありますか?

横山:もちろん、多いですね。良すぎるくらいのいいお手本なので。自分が騎手になってみて、改めて感じたんですけど、父というか横山典弘のすごさを実感しています。

 考え方もそうだし、簡単そうに話すんですけど、わかっているのにできないんですよ。特に考え方についてですね。馬は今どういう気分なのか、いつもと比べてどうなのか、調教よりどうなのか、いろいろな角度で考えていかないといけないと。こういう話をすると長くなっちゃうので、この辺でやめておきます(笑)。

横山典弘騎手

父の典弘騎手について「自分が騎手になってみて、父というか横山典弘のすごさを実感しています」(C)netkeiba

赤見:お兄さんの横山和生騎手ともレースのことは話しますか?

横山:兄とも話します。兄の話は比較的理解しやすいですね。環境的に近いですし。でも兄は難しい馬やひと癖ある馬も経験して、兄なりの意見を持っていますから。父はもちろんですけど、兄のことも尊敬しています。

横山和生騎手

兄の和生騎手については「兄の話は理解しやすいです。尊敬しています」(C)netkeiba

赤見:今の目標は何ですか?

横山:今の技術では大きなことは言えないですけど、一つ一つ勝ち鞍を増やすことです。

赤見:ライバルはいますか?

横山:同期は意識しますね。親しい仲間であり、ライバルなので。負けたくないですし、一緒にがんばっていきたいです。

赤見:騎手デビューして4か月目です。今、どんなお気持ちですか?

横山:小さい頃から騎手以外考えていなかったので、念願が叶って騎手になれて嬉しいです。ただ、ここからが本当のスタートなので、努力を重ねて父や兄に少しでも追いつけるようがんばります。騎手という職業は厳しい部分も多いですが、一番楽しい職業だと思っています。他の職業についたことないですけど(笑)。楽しいことばっかりではないですけど、悔しい分だけ嬉しさもたくさんありますから。

赤見:横山家3人ともお顔が似てますけれども、雰囲気は少し違いますね。

横山:そうですね。マスコミの方からしたら、父は気難しいんですよね?(笑)。兄は接しやすいと思いますけど、僕はどうなんでしょうか。自分ではよくわからないんですけど、周りから言われるのは、「いつも笑ってる」って(笑)。厩務員さんからも、「お前の写ってる写真全部笑ってるな」って言われます。ただね、「写真撮ります、笑ってください」って言われても上手く笑えないんですよ。作り笑いができないっていうか。

赤見:では、写真撮ります、笑ってください。

横山:無理です(笑)。何か面白いこと言ってください!

赤見:無理です(笑)。でも、いい笑顔が撮れました!ありがとうございました。

横山武史騎手2

「『お前の写ってる写真全部笑ってるな』って言われます(笑)」

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常石勝義

常石勝義
1977年8月2日生まれ、大阪府出身。96年3月にJRAで騎手デビュー。「花の12期生」福永祐一、和田竜二らが同期。同月10日タニノレセプションで初勝利を挙げ、デビュー5か月で12勝をマーク。しかし同年8月の落馬事故で意識不明に。その後奇跡的な回復で復帰し、03年には中山GJでGI制覇(ビッグテースト)。 04年8月28日の豊国JS(小倉)で再び落馬。復帰を目指してリハビリを行っていたが、07年2月28日付で引退。現在は栗東トレセンを中心に取材活動を行っているほか、えふえむ草津(785MHz)の『常石勝義のお馬塾』(毎週金曜日17:30〜)に出演中。

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