アウォーディー、群雄割拠に終止符を打つか!?/帝王賞

2017年06月27日(火) 18:00


レース毎に勝ち馬が変わるGI・JpnI戦線

 6月28日(水)、大井競馬場で行われる『第40回帝王賞』。これまでホクトベガ、コンサートボーイ、アブクマポーロ、メイセイオペラ、アドマイヤドン、アジュディミツオー、フリオーソ、ヴァーミリアン、スマートファルコン、ホッコータルマエら書ききれないほど数多くのトップホースたちが名勝負を演じてきた大一番。昨年の覇者コパノリッキーの回避は残念ですが、今年もJRA勢7頭中6頭がGI・JpnIを制している超強力メンバーが集結。昨年秋からのGI・JpnI戦線は、JBCクラシック、チャンピオンズC、東京大賞典、川崎記念、フェブラリーS、かしわ記念と勝ち馬がその都度変わる群雄割拠。そんな中、真のチャンピオンに輝くのはどの馬か!? 例年以上に楽しみな戦いとなりそうです。

昨年の覇者コパノリッキーは残念ながら回避(撮影:高橋正和)

 今回中心に推したいのはアウォーディー。2015年5歳の秋に初めて挑戦したダート戦(オークランドRCT・1600万下)でいきなり勝利すると、ダート2戦目のシリウスSで重賞初制覇。さらに2016年には名古屋大賞典、アンタレスS、日本テレビ盃まで連戦連勝。続く川崎で行われたJBCクラシックを制し、ダート転向後6連勝でJpnIタイトルを手にしました。その後チャンピオンズCでは2.2倍の1番人気でサウンドトゥルーのクビ差2着。東京大賞典では1.6倍の1番人気でアポロケンタッキーの1馬身1/2差の2着。悔しいレースが続く中、前走はドバイワールドCに挑戦して5着と日本馬最先着。

 海外遠征後、ここへ向けての仕上がりが鍵となりますが、昨年の上昇度と実力はメンバー中ナンバーワン。逃げ・先行有利な大井の2000mで1枠2番に入ったのも好材料。東京大賞典のリベンジの意味でもここはきっちりと勝って、ダート戦線の混戦に終止符を打ちたい。ホッコータルマエ、コパノリッキーに続くGI・JpnIタイトルを数多く手にする王者になるためにも負けられない戦いです。

ドバイワールドCは5着で日本馬最先着だったアウォーディー(写真は2016年JBCクラシック優勝時、撮影:高橋正和)

アウォーディーの他にも5頭のGI・JpnIホース

 相手筆頭はサウンドトゥルー。一昨年の東京大賞典でホッコータルマエを破りGIホースの仲間入り。昨年2016年は川崎記念2着、かしわ記念5着、帝王賞3着、日本テレビ盃3着、JBCクラシック3着と勝ち切れないレースが続くものの常に上位争い。12月のチャンピオンズCで待望の勝利、GI・2勝目を挙げました。昨年はかしわ記念を使ってから帝王賞というローテーションでしたが、今年はフェブラリーSからぶっつけの臨戦過程。休養を挟むことで使い詰めだった昨年の疲れが取れ、フレッシュな状態で迎える一戦。これまで戦ってきた相手を考えたら当然1着を狙える存在です。

チャンピオンズCではアウォーディーを差し切っているサウンドトゥルー(c)netkeiba

 昨年の東京大賞典の勝ち馬アポロケンタッキー。アウォーディー、サウンドトゥルー、コパノリッキー、ノンコノユメらを相手に5番人気の伏兵でしたが、一流馬たちを相手に直線で力強く抜け出した脚は本物。ドバイワールドCでの9着以来で、こちらも遠征後の調整が気になりますが、大井競馬場を知り尽くした内田博幸騎手とのコンビで再びの戴冠を目指します。

昨年末の東京大賞典を制したアポロケンタッキー(撮影:高橋正和)

 今回のJRA勢で唯一GI・JpnIを勝っていないケイティブレイブ。とはいえ兵庫チャンピオンシップ、白山大賞典、浦和記念、名古屋大賞典を制した重賞4勝馬。大井競馬場は昨年3歳時にジャパンダートダービー2着の舞台。2枠3番の枠を活かし、すんなり前に行くことができれば面白い存在。未来ある4歳馬がここでどんな戦いをするのか目が離せません。

大井競馬場ではジャパンダートダービー2着の実績があるケイティブレイブ(写真は2016年浦和記念優勝時、撮影:武田明彦)

 1000万下から3連勝で川崎記念を制覇。一気にJpnI優勝まで昇りつめたオールブラッシュ。マイペースで逃げ、サウンドトゥルーの追撃を破っての勝利は展開がはまった感もありますが、自分の競馬ができれば侮れない存在。同厩舎(村山明厩舎)のコパノリッキーの分も陣営は力が入っているはず。

今年の川崎記念を制しJpnIホースとなったオールブラッシュ(撮影:高橋正和)

 クリソライトは2015年の帝王賞2着、昨年は8着。大井の2000mは2013年のジャパンダートダービーを制した舞台。逃げ・先行脚質のイメージがありますが、前走・平安Sでは出遅れて最後方からの競馬になったものの直線で追い込んで2着。奇しくも新しい面を見ることができました。戸崎圭太騎手とのコンビで今回はどんな位置取りで競馬をするのか!? 注目です。

前走の平安Sでは最後方からの追い込みで2着と新しい一面を見せたクリソライト(写真は2017年ダイオライト記念優勝時、撮影:高橋正和)

 今年2月のフェブラリーSを制した4歳馬ゴールドドリーム。力があるのは当然わかっていますが、チャンピオンズCは12着、ドバイワールドCは14着と負ける時には大敗してしまうのは気になるところ。先日の宝塚記念をサトノクラウンで制したミルコ・デムーロ騎手とのコンビで人気を集めそうですが、海外遠征後の状態も含め、今回はあらゆる意味で試金石になりそう。

今回と同じM.デムーロ騎手とのコンビで今年のフェブラリーSを制したゴールドドリーム(撮影:下野雄規)

 地方勢からはウマノジョーを挙げておきましょう。岩手デビューで昨年大井に移籍。めきめきと力を付け、ついに前走・大井記念で重賞制覇。岩手時代からコンビを組んでいた山本聡哉騎手に南関東重賞初制覇をプレゼントしました。ダートグレード競走では3走前にダイオライト記念3着があり、JRA勢にどこまで食い込めるかぜひご注目を!

前走の大井記念で重賞初制覇を果たしたウマノジョー(撮影:高橋正和)

 6頭のGI・JpnIホースが揃った豪華メンバー。とはいえJRA勢で前走1着という馬は不在。海外遠征帰り、休み明け、梅雨時の天候など不確定要素も多く、波乱も予想される馬券的には難しい戦いになりそうです。アウォーディーが勝って絶対的王者に君臨するのか!? それとも!? 春のダート戦線を締めくくる帝王賞、ぜひお見逃しなく!

※次回の更新は7月5日(水)18時。川崎競馬場で行われる「スパーキングレディーC」のコラムをお届けします。


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【ダートグレード競走とは】
中央競馬・地方競馬の交流を促進し、ダート適性のある実力馬の出走機会の拡大を図るため、全日本的な見地から体系づけられたダート交流重賞競走の総称。

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荘司典子

埼玉県出身。フリーアナウンサー。競馬好きが高じてこの世界へ。2001年から15年間、グリーンチャンネルで「中央競馬全レース中継」のキャスターを務める。2016年度から「グリーンチャンネル地方競馬中継」のコメンテーターとして出演。さらに全国各地の競馬場のトークイベントに参加するなど、中央競馬・地方競馬の垣根を越えて活躍中。

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