今度は狙いの東京戦、時計のかかる馬場も合う/府中牝馬S

2017年10月13日(金) 18:00


◆リーディングトップの鞍上にも期待

 距離が1800mになった1996年以降、21年間連続して「4歳馬か、5歳馬」が勝っている。今年はその4歳馬と5歳馬だけの対戦で、先週の京都大賞典を勝った7歳スマートレイアー(この府中牝馬Sは過去、2着、2着、3着)のようなタフな牝馬はいない。

 この21年間、4歳馬が「14勝、2着9回」。対する5歳馬は「7勝、2着10回」なので、しいていえば、いま完成期を迎えている4歳馬がやや有利か。

 4歳馬で、東京コースのGI「ヴィクトリアマイル」を勝っているアドマイヤリード(父ステイゴールド)が中心。人気のクイーンS(札幌)は後方差詰めの6着にとどまったが、ひと息入れたあとの、初コース。小回りのローカル戦はまったく経験がなかったせいか、3歳アエロリットの快走を前にして手も足も出ず、最初から後方追走の情けない結果に終わった。小柄な馬体だが、京都や東京で快走している馬なので、のびのび走れる広いコース向き。小回りコースはまったく合わなかった。

 今度は狙いの東京戦。格下馬をずっと前に置き、最後に外に回って抜け出した最終追い切りの動きは、今春のヴィクトリアマイル当時と同様に鋭かった。ヨーロッパタイプの牝系に、ステイゴールド。ヤヤ重発表くらいの少し時計のかかる馬場は合っている。

 先週までにJRAで141勝を挙げてランキングトップの戸崎騎手は今年、GIIIこそ勝っているが、GIはおろかGIIも未勝利という不思議な成績になっているが(同じ公営出身の内田騎手も、岩田騎手もみいられたようにGII、GIは未勝利)、さすがにこの秋はそんな成績にはとどまらないだろう。内田騎手とともに日曜も東京で秋華賞には騎乗馬がまわってこなかった。

 すでに141勝もしているからスランプでもなんでもないが、ビッグレースの勝ち星がないのは戸崎騎手にとって、内田騎手、岩田騎手とともに、トップジョッキーを自負する立場とするとあまりに物足りない成績である。この秋は、GIもGII勝ち星を積み重ねたい。その手始めにアドマイヤリードのGII府中牝馬S制覇となることを期待する。

バックナンバーを見る

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

柏木集保

1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

関連情報

新着コラム

コラムを探す