2017年10月19日(木) 12:00
◆ディアドラの勝利は言葉そのもの
天高く馬肥ゆる秋と言えば、実り多き秋をたたえる言葉として生きているが、気候もよく快適な気分につながっている。この「馬肥ゆる」だが、競馬にも結びつくことがわかった。秋華賞出走馬18頭のうち13頭が前走よりプラス体重で出走してきて、その中でも最も増えてプラス12キロのディアドラが勝っていたのだ。
調教でしっかり追われて体重をさらに増やしてきて、これはよほど体調が良かったということだ。しかも、堂々として落ち着いている。これだけでもディアドラの強さが伝わってきたが、桜花賞6着、オークス4着で賞金が足りないこともあり、夏の札幌を使って秋は紫苑ステークスを走りと、実にタフなところを見せていた。それも、札幌、中山のコーナーを4つの2000米を連勝と、京都内回りの秋華賞対策にしっかり答えを出しての登場だった。このタフさは、秋華賞初の重馬場とその戦い方にも生かされていた。
初コンビのルメール騎手の神業も光っていたが、それに応えたディアドラの強さにも敬服したい。スタートが良くなく、もう少しいい位置にと考えていた思惑がはずれたルメール騎手は、ためらわずに後方に構えていた。道悪にしてはペースが速いという感触はつかんでいたので、慌てるところはない。
3コーナーから走る距離の無駄をなくすために内に馬を入れていった。ポジションがうしろなのに内にもぐり込んでいる、この判断が勝利の道すじをつくっていった。直線、前にいるモズカッチャンがスパートすると前が開け、左前方に進路が確保され、そこを一気に突いて出て行ったのだった。
ためらわずに決断すべきときにきちんと決断したからこそ、次に考えるべきこと、打つ手が打てたという成功例を見る思いがしたが、それに応えたディアドラが、どれだけ充実していたか。正に、天高く馬肥ゆる秋そのものだったと言えた。
この馬肥ゆるの話は、中国大陸北方の異民族の馬が秋になって肥ゆるようになれば、必ず事が起こるから、しっかり備えをするようにという警告なのだが、競馬では、秋に馬肥ゆれば強くなると期待をこめてみたい。
netkeiba編集部より
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※初回更新日:10月28日
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長岡一也
ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。
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