2017年11月01日(水) 18:01
▲(左から)清水久詞調教師、北島三郎オーナー、武豊騎手。春に続きのこの3ショットがGIの舞台に(撮影:下野雄規)
菊花賞の不良馬場に匹敵、いや、むしろそれ以上にも思えた天皇賞(秋)の馬場。思わずノリさんに「今までの天皇賞でこんな馬場ありました?」と聞いたら、「メジロマックイーンが降着になった年がこんな馬場だった」とのこと。聞けば、天皇賞(秋)ではそれ以来の不良馬場だというから、今年はとことん天候運に見放されている。
そんな極悪馬場をモノともせず、王者たる走りを見せたのがキタサンブラック。大阪杯のときも、「この馬はもう負けることはないんじゃないか」と思ったものだが、今回もまさに脱帽。本当に強い競馬をした。
しかも、ゲートで突進し、後方からの競馬に。普通に考えれば、人馬ともに気持ちのコントロールが難しくなる場面ではあるが、ユタカさんは至って冷静に乗っているように見えた。恐らくユタカさんのなかでは想定内の出来事だったのだろう。なぜなら、これまでユタカさんが上手く出してきたものの、実はゲートの中でのブラックはかなり煩い部類で、傍から見れば常に危うさを秘めていた。むしろ、今までよく普通に出していたなと思うほどで、いつ今回のようなことが起こってもおかしくはなかった。
もうひとつ、ユタカさんが冷静に運べた一因として考えられるのは、サトノクラウンがすぐそばにいたこと。力のない馬たちに周りを固められたりすると、どうしても進路取りに迷いが生じたりするものだが、実績馬であり、道悪が得意なクラウンの後ろにいれば、おのずと道が開ける可能性は高い。そういった安心感がジョッキー心理に与える影響は少なからずあり、おそらくユタカさんも、クラウンの真後ろを確保できたことでブラックの走りだけに集中できたのではないか。・・・
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2013年にJRA賞最多勝利騎手に輝き、日本競馬界を牽引する福永祐一。まだまだ戦の途中ではあるが、有言実行を体現してきた彼には語り継ぐべきことがある。ジョッキー目線のレース回顧『ユーイチの眼』や『今月の喜怒哀楽』『ユーザー質問』など、盛りだくさんの内容をお届け。
福永祐一
1976年12月9日、滋賀県生まれ。1996年に北橋修二厩舎からデビュー。初日に2連勝を飾り、JRA賞最多勝利新人騎手に輝く。1999年、プリモディーネの桜花賞でGI初勝利。2005年、シーザリオで日米オークス優勝。2013年、JRA賞最多勝利騎手、最多賞金獲得騎手、初代MVJを獲得。2014年のドバイDFをジャスタウェイで優勝。
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