アジュディミツオーに続け!ヒガシウィルウィン/東京大賞典

2017年12月28日(木) 18:00


一年の締めくくりにトップホースたちが集結

 ダート競馬の一年を締めくくるビッグレース『第63回東京大賞典(GI)』。今年も激戦を繰り広げてきたトップホースたちが12月29日(金)、大井競馬場に集結します。

 昨年はアウォーディー、サウンドトゥルー、コパノリッキーの3つどもえの戦いが予想されましたが、栄冠を手にしたのは5番人気で単勝16.3倍だったアポロケンタッキー。果たして今年はどんな決着が待っているのか、例年以上の盛り上がりを見せそうです。

大井2000mは絶好の舞台となるヒガシウィルウィン

 強力メンバーが揃う中、今回最初に名前を挙げるのは船橋のヒガシウィルウィン。地方馬として7年ぶりにJRA勢を撃破しジャパンダートダービーを制覇した3歳ダート王。前走・浦和記念は休み明けで馬体重プラス13kgと仕上がり途上の印象。レースでは3コーナーで一気にマイネルバサラに交わされたあと、さらにオールブラッシュとナムラアラシにも交わされていったんは4番手に。そのまま下がってしまうかと思いきや4コーナーを回って再び2番手に浮上。マイネルバサラからは6馬身離されましたが、3着オールブラッシュには6馬身差をつけての2着。初めての古馬相手で、勝負所で見せた粘り強さは“負けて強し”の印象。次に繋がるレースぶりでした。元来、左回りよりも右回りの方が力を発揮できると思われ、大井の2000mは絶好の舞台でしょう。

前走も“負けて強し”の印象だったヒガシウィルウィン(写真は17年ジャパンダートダービー優勝時、撮影:高橋正和)

 2004年に3歳で東京大賞典を制したアジュディミツオーは翌年2005年も連覇。GIを5勝し、地方競馬を代表する存在となりました。同じ船橋競馬から3歳で東京大賞典に挑戦するヒガシウィルウィン。偉大な先輩アジュディミツオーに続く王者になることができるでしょうか。森泰斗騎手も手に入れたいGIタイトル。当然狙うのは“1着”ですが、ここで良いレースが出来れば来年以降の更なる飛躍は確約されたようなもの。将来を夢見る頂点を目指す戦いに心が躍ります。

過去にはアジュディミツオーが3歳で制覇している(写真は05年東京大賞典優勝時、撮影:高橋正和)

 ヒガシウィルウィンの前に立ちはだかる強豪揃いのJRA勢。筆頭はこれがラストランとなるコパノリッキー。先日の有馬記念ではキタサンブラックが有終の美を飾りましたが、砂のグランプリでもコパノリッキーがラストランを勝利で飾ることができるか注目が集まります。ご存知GI・JpnI10勝馬が史上初の11勝目をかけての出走。実績を考えたらもちろんメンバー中ナンバーワンの存在。これまで大井競馬場では7戦して【2-3-0-2】。2015年JBCクラシックと2016年帝王賞を勝っていますが意外にも東京大賞典はまだ取っていないタイトル。2走前にJBCスプリントに出走し「本来のスピードが戻ってきた」と陣営がコメントする状態が2000m戦でどう影響するのか? 自分のリズムで競馬ができた時の強さは他を圧倒するものがあるだけに当然1着候補に挙げなくてはいけない1頭です。

コパノリッキーは史上初のGI・JpnI11勝目を狙う(写真は17年南部杯優勝時、撮影:高橋正和)

 今年の帝王賞馬ケイティブレイブ。まさかの出遅れから直線で見事な差し切りを決めJpnIホースの仲間入り。着実に力を付け充実期を迎えつつある4歳馬。帝王賞以降3戦、勝ち鞍はありませんが日本テレビ盃は0.1秒差の3着、JBCクラシックは0.2秒差の2着、前走・チャンピオンズCは0.3秒差の4着と勝ち馬から大差は無く安定した成績。世代交代を印象付けるためにも帝王賞に続いてのGI・JpnI制覇を目指します。

ケイティブレイブはここで優勝し世代交代となるか(写真は17年帝王賞優勝時、撮影:高橋正和)

 サウンドトゥルーは2015年の覇者。大井の2000mで行われた今年のJBCクラシックで見せた走りは全く衰え知らず。この馬も当然再びの制覇を狙っての出走。大井競馬場では6戦して【2-1-2-1】と好相性。上位争いは必至です。

衰え知らずのサウンドトゥルー、好相性のこの舞台で上位を狙う(写真は15年東京大賞典優勝時、撮影:高橋正和)

 忘れてはいけないアポロケンタッキー。昨年はみやこSを勝ったあとチャンピオンズCで5着。続く東京大賞典は初の地方競馬参戦で一気にGI初制覇。年明けのドバイワールドCへの遠征疲れのためか今年、日本テレビ盃を勝った以外は成績を出せていない点は気になりますが、昨年の覇者の意地にかけても恥ずかしいレースはしたくない。前走・チャンピオンズC取り消し明けの影響は無いとのこと。東京大賞典を4勝している内田博幸騎手とともに復活にかけます。

昨年の覇者アポロケンタッキー、取消明けの影響も無さそう(写真は16年東京大賞典優勝時、撮影:高橋正和)

 白山大賞典、武蔵野Sを連勝中のインカンテーションも強力な1頭。度重なる骨折から復活し、悲願のGI制覇に挑みます。ここまで1600m〜1800mを中心に使われており、2000m以上の距離でのレースは前々走の白山大賞典1回のみ。金沢の2100mを経験し、こなす事はできましたが、果たして大井の2000mでどうか? 鞍上は三浦皇成騎手。人馬ともに怪我を克服したコンビのタイトル奪取なるか注目です。

人馬ともに怪我を克服し、悲願のGI制覇に挑むインカンテーション(写真は17年白山大賞典優勝時、撮影:武田明彦)

 ミツバは7月のマーキュリーCでダートグレード競走初制覇。JBCクラシックではサウンドトゥルーから0.2秒差3着に健闘。しまいの脚は確実でどこまで伸びるかが勝負。父は2008年の覇者カネヒキリ。今年もGI戦線で大活躍の鞍上ミルコ・デムーロ騎手にも注目が集まります。

 ミツバと同じくカネヒキリ産駒のロンドンタウン。前走・チャンピオンズCでは15着に敗れましたが、8月のエルムSではチャンピオンズC2着のテイエムジンソクを破って1着。続く韓国のコリアCも制しており軽視は禁物。

 引退の花道を飾りたいGI・JpnI10勝馬コパノリッキー、帝王賞馬ケイティブレイブ、JBCクラシックを制したサウンドトゥルー、昨年の覇者アポロケンタッキー、ジャパンダートダービー馬ヒガシウィルウィン。今年のビッグレースを賑わしてきたタイトルホルダーが揃った文字通りの頂上決戦。どの馬が1番人気になるのか? という予想も難しいレースで、勝ち馬が目まぐるしく変わった今年のGI・JpnI戦線を象徴するかのように実力拮抗の様相。果たして混戦を断つのはどの馬か? ゴールの瞬間まで目が離せません!

※次回の更新は1月23日(火)18時。翌日に大井競馬場で行われる「TCK女王盃」のコラムをお届けします。


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【ダートグレード競走とは】
中央競馬・地方競馬の交流を促進し、ダート適性のある実力馬の出走機会の拡大を図るため、全日本的な見地から体系づけられたダート交流重賞競走の総称。

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荘司典子

埼玉県出身。フリーアナウンサー。競馬好きが高じてこの世界へ。2001年から15年間、グリーンチャンネルで「中央競馬全レース中継」のキャスターを務める。2016年度から「グリーンチャンネル地方競馬中継」のコメンテーターとして出演。さらに全国各地の競馬場のトークイベントに参加するなど、中央競馬・地方競馬の垣根を越えて活躍中。

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