2018年01月07日(日) 18:00
◆C.ルメール騎手も興味を持つあの馬も気になる
あまり早くからの活躍を期待して出走させると、たとえそれがうまくいっても全盛の活躍期間が短くなりがちなディープインパクト産駒(とくに牡馬)が、昨年、少し方針転換して2歳戦に103頭も出走した。ディープインパクトにとって最多記録であると同時に、2歳戦57勝はJRA新記録でもある。
2歳重賞がふえ、早くに賞金獲得に成功する馬が多くなると、いかにディープ産駒といえども、昨年あたりから春の重賞路線(とくにトライアル)に出走しにくくなったからかもしれない。
3歳春までの重賞は、体系変化や、時代とともに絶えず変化しているが、シンザン記念はここ20年くらいNHKマイルCを展望するマイラーと、秋後半から軌道に乗り始めた桜花賞を展望する馬のマイル戦になっている。16年の2着馬ジュエラーは桜花賞馬となり、12年の勝ち馬ジェンティルドンナは、桜花賞だけにとどまらず牝馬三冠を制してみせた。
関東馬アーモンドアイ(父ロードカナロア)は、10年の春の2冠牝馬アパパネを送った国枝厩舎の所属。アパパネは栗東滞在で成功したが、近年はその手法を取るケースはめったにない。しかし、桜花賞が初の関西遠征では、死角が大きく失敗例が多くなる。
シンザン記念はだいたい手薄なメンバーになる。ここで関西遠征を経験し、かつ、勝つことができるなら、関東馬にとって厳しい桜花賞の王道「チューリップ賞→桜花賞」という遠征日程を組まなくても良くなる。目下のデキの良さに注目するだけでなく、陣営の桜花賞展望(推測だが)に乗る手がある。アーモンドアイを中心としたい。
関西馬プリュスは小柄でもあり、ジュエラー、ジェンティルドンナなどの成功例を踏襲した出走か。
2010年、父ヴィクトワールピサが武豊騎手で挑戦した凱旋門賞の3着馬が、やがて輸入されプリュスの母となった仏の活躍牝馬サラフィナであることは広く知られる。「あの牝馬が輸入され、その仔に乗れるのか」。武豊騎手とのコンビでクラシック路線を歩むのは陣営の描いた展望通りでもあり、このローテーションに乗る手もある。桜花賞というより、母に似ているならオークス向きではあるが……。
ヴィクトワールピサと対戦したときのサラフィナはG.モッセ騎手だったが、仏オークスや、1番人気になった翌年の凱旋門賞で主戦として騎乗していたのは、巡り巡って現在は日本の騎手となったC.ルメール騎手だった。当然のことながら、C.ルメールもプリュスには大いに興味がある。いつか、ルメールが騎乗することになるかもしれない。この牝馬にも、やがての成長株として注目しておきたい。
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柏木集保
1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。
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