京都記念に出走!モズカッチャンの古川助手にお話をお聞きしました!

2018年01月23日(火) 18:00

モズカッチャン

モズカッチャンを担当している、鮫島厩舎の古川助手にインタビュー!(1月23日撮影)


古川助手「女子は気難しいからね。怒らせたら大変です(笑)」

 日本列島はすっぽり低気圧に包まれ雪模様になっていますが皆さんのお家は大丈夫ですか?雪の降った後が非常に滑りやすくなっていますので十分に気をつけましょう。月曜日で良かったなーと思ってしまいました。これが昨日だったら競馬場がどうなってるか不安でしたね。

 古川騎手のテイエムジンソクが迅速から神速になってきたぞー!おめでとう!日曜日の中京競馬のメインレース、東海S(GII・ダート1800m)を見事に逃げ切る横綱競馬をしました。素晴らしいレースぶりにTVを見ながら拍手していましたよ。中京だったので見に行けなくて残念でした。優先出走権を得たフェブラリーSでも有力な存在になって、楽しみですね。

テイエムジンソク

東海Sを制したテイエムジンソク。フェブラリーSも楽しみ! (C)netkeiba.com

 古川騎手がレース前に「ジンソクはストライドが大きくて末脚の持続力が十分ある。いつもと変わりなく順調に仕上がっているし、僕も変わりないよ」と話していた通りのレースを見せてくれました。

 さらに「騎手生活23年目になるがあまり変わらず懸命に乗ってるだけ。毎週火曜日から金曜日まで調教に乗ってるし上手くなりたいといつも思いながら騎乗している。ジンソクと巡り会えたことで楽しみが広がっている。昨年のチャンピオンズCでは悔しい2着だったが良く走ってくれた。使える脚がさらに伸びるようになってきたのでフェブラリーステークスが楽しみです」とも。GIII、GII、そしてGI馬へと楽しみを広げていってください。期待しています。

 古川騎手の同期としては嬉しい限りです。楽しみにしています(僕は引退してしまったけど誇れる同期がいっぱいです)。

***

 今週取り上げるのは、京都記念参戦予定のモズカッチャンです。カッチャンは僕の愛称と同じなので和田騎手が手綱を取っていた時から気になり、追っかけしていました。昨年末に取材させていただき大事に温めていました。京都記念(GII)は4歳馬のNO1決定戦かも?

 担当の古川助手に取材しました。

常石 エリザベス女王杯(GI)制覇おめでとうございます!今日はよろしくお願いします。

古川助手 ありがとうございます。残念ですが放牧に行ってしまって厩舎にはいないので、会えませんね。これからGIを戦っていくにはちょうどいい休養時間だと思います。

常石 顔が小さくてかわいい女の子って感じでしたよね。

古川助手 見た目はそんな感じですが、食欲もあり、なかなか活発な女の子ですよ。体重も500kg近くありますからね。

モズカッチャン

見た目はかわいい女の子でも、食欲があってなかなか活発(1月23日撮影)

常石 鮫島厩舎に入ってから初めて担当した馬がカッチャンで、まず未勝利戦を勝ったそうですね。そしてフローラS(GII)、エリザベス女王杯と勝つのはすごい金星です。どんな気持ちでしたか?

古川助手 僕の腕ではないですよ。初めは他の方が担当だったんですが、競馬学校から鮫島厩舎で働かせてもらい「新米だから牝馬を担当するか?」というのがこの馬との巡り合わせです。大学時代乗馬をしていたので馬のことは良く分かってるつもりでしたが、競走馬は全く違っていましたね。先輩の助手の方や先生の指導を受けながら、試行錯誤しながらやっています。

 カッチャンは藤岡康太騎手で未勝利を勝たせていただき、和田騎手に乗り替わってフローラS勝利と、順調に成長していってくれました。エリザベス女王杯の時はバスの中だったので良く分からなかったのですが、デムーロ騎手がガッツポーズをして喜ぶ姿を見た時に勝ったんだと確信。引き揚げてきたデムーロ騎手とハイタッチしました。興奮していたのではっきり覚えていませんね。

 カッチャンと周回し、エリザベス女王杯の馬着を着けてもらってから、じわじわと嬉しさがこみ上げてきました。何より開業18年目の鮫島厩舎に初のGIを運んでくれたカッチャンの走りに「ありがとう!よく走ってくれたなー」と感謝です。

常石 レースを見ていて感じたことがもう一つありました。わっ君(和田騎手)騎乗のクロコスミアが接戦の末2着に敗れましたが、それでも馬上からデムーロ騎手に「カッチャンおめでとう!」と声をかけ、それに対し「すみません」と返したデムーロ騎手。お互いの気配り、フェアーな気持ちでたたえ合えることの素晴らしさを感じウルウルしました。

 わっ君はきっと悔しさがあったと思いますが、素直におめでとうと言える心の広さに競馬の良さと面白さを痛感しました。尊敬します。デムーロ騎手のフェアーな精神にも感動しました。

モズカッチャン

お互いに気配りをし合うデムーロ騎手と和田騎手に感動 (C)netkeiba.com

 古川助手が乗馬から馬に触れているのは、基本がしっかりしているから強みですね。

古川助手 いやー、僕はまだまだ未熟ですよ。乗れるというだけですね。馬の特徴や癖などは良く分かりますけど。あっ、そうそう。常石さんは明石乗馬へ行ってるそうですね。三木翔一朗さんはまだいますか?大学の乗馬部の先輩なんですよ。お母さんも良く知っています。僕たちの面倒を良く見てくれました。嬉しかったです。

常石 えー!そうなんですか?僕は今、そのお母さんにレッスンをしてもらっています。すごく上手いんですよ。障害者乗馬の指導者資格もあり、パラリンピックコーチの資格も持っているのでとっても頼りになります。やっぱり馬つながりは幅が広いなー。すごいです。翔一朗さんに伝言しておきます。

古川助手 翔一朗さんは乗馬留学していたんですよね。ベルギーだったかな?

常石 そうらしいです。帰国して1年くらいになりますかね。コーチをしながら大会にも出場されています。馬の背中にも立つことができるんですよ。バランスが抜群ですね。騎乗スタイルもスマートできれいです。

古川助手 大学時代から上手かったですよ。色んなことを教えていただきました。

常石 祖父が乗馬クラブを作りおじさんが会長、ご両親が乗馬をしている馬一家ですね。大障害も馬場馬術もしています。

 カッチャンの話に戻りますけど、厩舎の皆さんはとっても馬を大事に扱っておられますよね。

モズカッチャン

馬をとても大事に扱っている鮫島厩舎の皆さん(1月23日撮影)

古川助手 馬の持ってる良さを引き出すにはどうすればいいかなどいつも考えていますが、秋緒戦のローズSではテンションが高くなってしまい、この馬の一番悪いところが出てしまいました。デムーロ騎手と良く話し、馬と仲良くなろうと心がけてくれました。テンションが落ち着いてくれれば競馬が上手な馬なので、少しずつ成長が見られるようになり、結果が出せて良かったです。

 輸送も大丈夫だし、飼い葉もしっかり食べてくれるのが一番いいですね。馬体重も480kgくらいあります。放牧から帰ってきたら500kg近くなってるかもしれません。牝馬のGI競走は少ないので強いメンバーも集まりますが、自分の競馬ができスタートも上手いので見ていて安心です。牝馬は気難しい面があるのでいつも安定した気持ちで出走できるように持っていきたいと思っています。

常石 精神面で落ち着かせていくのは一番難しいことだと思いますが、工夫されていることはありますか?

古川助手 馬の様子を見ながらゆっくり丁寧に付き合っています。女子は気難しいからね。怒らせたら大変ですよ(笑)。

常石 分かります(爆笑)。

古川助手 もう1頭担当しているハギノアテナという馬も楽しみですが、カッチャンにも全力投球していきたいと思っています。賢い馬で僕の動きをキャッチして反応するので「とにかく丁寧に」がモットーです。デムーロ騎手も「一緒に仲良くやっていこう」と馬にも僕にも接してくれるので気持ちが楽になりますね。康太騎手も和田騎手も馬に優しい騎手なので、カッチャンが安心して走れるんだと思います。京都記念からさらに夢が広がっていくので応援してください。初めての経験ですが頑張ります。

モズカッチャン

京都記念を目標に運動を始めているモズカッチャン(1月23日撮影)

常石 また新年にカッチャンに会いに来ます。成長が楽しみだな。一段と女子力を上げてるカッチャンに会えると思うとワクワクします。楽しみにしています。

古川助手 初めて担当した馬でいい出会いができ、最高の経験をさせてくれました。それを教えてくれた馬に感謝し、もっと上を目指していきたいと思います。鮫島厩舎に初GIタイトルを増やしていきたいですね。プレゼントしてくれたカッチャンに乾杯です。

常石 このレースで馬の世界のからくりの面白さを実感しましたね。初物尽くしのGIから経験を積み上げていってほしいと思います。さわやかな古川助手に乾杯!!

***

 今朝早くまた、モズカッチャンに会いに行ってきました。

古川助手 一回り大きく成長し492kgくらいあります。京都記念を目標にして徐々に乗り込んでいきます。騎手に乗っていただくとテンションが上がるのでずっと僕が調教をしています。とっても賢い馬なので準備していても良く分かり「よっしゃいこうか」と声をかけると脚を一歩前に出すんですよ。

「カワイイ子やでー」とべたべたに惚れ込んでいる様子。顔は小さく目がぐるぐるしていてとっても美人です。京都記念からドバイを目標にしています。チャンスがある時に行ってみたいですね。カッチャンと古川助手の夢は、まだまだ大きいです!

モズカッチャン

「よっしゃいこうか」と声をかけると脚を一歩前に出すんですよ(1月23日撮影)

P.S. 僕と交互にコラムを担当し支えてくれた赤見千尋さんが産休に入られるそうですね。色々ありがとうございました。母子ともに元気に健やかにお過ごしください。赤ちゃんのデビューも楽しみにしていますよ。僕はぜひ、復帰してもらいたいです。とりあえずお疲れ様でした。それまでの間はファンの皆様、頼りない僕のコラムにお付き合いください。頑張って取材し、皆さんに楽しんでいただけるようなコラムにしたいと思います。

つねかつこと常石勝義でした。

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常石勝義

常石勝義
1977年8月2日生まれ、大阪府出身。96年3月にJRAで騎手デビュー。「花の12期生」福永祐一、和田竜二らが同期。同月10日タニノレセプションで初勝利を挙げ、デビュー5か月で12勝をマーク。しかし同年8月の落馬事故で意識不明に。その後奇跡的な回復で復帰し、03年には中山GJでGI制覇(ビッグテースト)。 04年8月28日の豊国JS(小倉)で再び落馬。復帰を目指してリハビリを行っていたが、07年2月28日付で引退。現在は栗東トレセンを中心に取材活動を行っているほか、えふえむ草津(785MHz)の『常石勝義のお馬塾』(毎週金曜日17:30〜)に出演中。

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