12人の調教師が引退、新調教師のバトルが早くも始まりました。

2018年03月06日(火) 18:00

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福島調教師の有終の美を飾ったダイアナヘイロー


福島調教師「この仕事に携われて幸せでした」

 3月に突入。感動と夢をいただいた平昌オリンピックから春競馬へ。そして9日から開催のパラリンピックへと、応援を続けていきましょう。

 武豊騎手が神様に「勝ってくれ」とお願いしたそうですが、ここぞーというときにきっちり決めてくれさすがと驚き、尊敬。豊騎手には、勝利の女神が舞い降りてくるんですね(4月に乗馬の大会があるので僕にも女神さまが出現してくれないかな?ずっと待っているんですが…待ってるだけではだめですよね。頑張ります。苦笑)。

 福島先生の引退に合わせダイアナヘイロー号で阪急杯(GIII)を制覇し、有終の美を飾って門出を祝福。

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見事阪急杯(GIII)を制覇したダイアナヘイロー

 そして3/1より新調教師となられた幸四郎調教師の管理馬でも、いきなり兄弟制覇を飾ってくれました。3/3の阪神1レース、3歳未勝利戦(ダート1800m)に出走したグアン号。好位から抜け出し後続に2馬身半差をつける、1番人気に応えての勝利。おめでとうございます。

 騎乗前に豊騎手が直立し一礼。その時、弟ではなく調教師としてしっかりやっていってほしいという切なる豊騎手の思いが伝わるような気がしました。そして調教師が手を添えて馬に跨る光景は、「あ・うん」の一瞬の呼吸の中のやり取り「お願いします」「任せて」が聞こえたような気がしました。

 豊騎手は「調教師の指示通り乗りました」とコメント。幸四郎調教師にエールを送ります。幸四郎調教師は「まずは、無事に帰ってきてくれてうれしいです」とウマの労をねぎらい、調教師の仕事を一つ一つ積み重ねていきます。

 この勝利は、オーナーと池江先生とのご厚意によります。僕からも感謝したい気持ちです。調教師としての新しい顔を見せてくれました。この後のレースも勝ってデビュー初日から2戦2勝。第2のホースマン人生を1歩2歩踏み出し、ますますファンが増えますね。

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いきなり兄弟コンビでの勝利!(c)netkeiba.com

 安田翔伍調教師も3/4に初勝利を挙げ、新調教師のバトルが早くも始まってきましたね。暖かい春の日差しに合わせ話題満載の新人調教師と新人騎手の活躍をライブ観戦しましょう。競馬場へお出かけくださいね。初々しい笑顔に会えると元気もらいますよね。

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 東西合わせて12人の調教師が引退・勇退され残念な思いとお疲れ様の思いでいっぱいです。たくさんの功績を残され競馬界を築いてこられた調教師の引退は競馬の歴史や苦労されたことなどをお聞きすると、感慨深いものがあります。まだまだこの世界で活躍していただきたいなーという思いです。残してくれた歴史は大事にしたいですね。

 ここにも競馬の女神さまがいたんですね。引退される福島調教師の管理馬ダイアナヘイロー号が最後の阪急杯を見事に勝利し有終の美を飾りました。笑顔と涙のフィナーレVをプレゼントした武豊騎手。キタサンブラックといいドラマ・ドラマですよね。

 福島先生が競馬にかける思いを競馬場で話してくれました。

「騎手・調教師として半世紀以上この世界で過ごしてきた。調教師を30年間やってきて最後の最後で重賞を勝たせてもらえるとは思わなかった。豊騎手は、持ってる男だね。競馬は、こんなことがあるから面白いんだよね。この仕事に携わっていられて幸せでした。

 今日の阪急杯は、いつも通り好スタートを決めたが、すぐハナにはいかずじっと我慢し向こう正面半ばで主導権を握ってくれた。豊騎手が『いい形になってくれた』と話していたように、最後まで粘ってくれました。何度も言いますが、こんな形で最後を迎え重賞を勝てて本当にうれしいです。感謝です。

 安心してダイアナヘイローを次の厩舎へ託すことができます。昨年は4連勝で北九州記念を制したが、次のスプリンターズS、そして今年初戦のシルクロードSも二桁着順に敗れていたからね。このことで夏女と思われ、もう終わったかと思ったよ。

 先週の京都牝馬Sを視野に入れ迷ったけど、先週は馬場が荒れていたので、今日の阪神開幕まで待った。それがよかったんだと思う。長いこと調教師をやってきて、最初はイクノディクタスがいい競馬をしてくれた思い出がある。最後にこんないい競馬をしてくれて感謝。調教師冥利に尽きるね。ダイアナヘイローは大根田厩舎に転厩予定です。これからも大きなレースを勝ってくれると信じています」

 豊騎手のコメントです。

「いいスタートを切ることができ、いい形で進めることができたが、直線で後続が一気に追い上げてきて何とか最後まで頑張ってくれと神様に祈りました(笑)。ずっとお世話になった先生なのでなんとか勝ってほしいという思いがあり懸命に乗りました」

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最後まで頑張ってくれたダイアナヘイロー(c)netkeiba.com

 先生、ありがとうございました!(握手) やっぱり競馬はいいなー。スポーツはいいなー。平成30年の節目の年の競馬も楽しみましょう。引退された先生方には、僕が現役の時にお世話になった先生方も多くまだ余韻が残っています。ありがとうございました。感謝!

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 チューリップ賞も無敗で勝ち上がってきたラッキーライラックが桜花賞へ王手をかける。弥生賞を制したダノンプレミアムも無敗で皐月賞へ向かう。父ディープインパクト譲りの強さを発揮し会心の4連勝。でも、ワグネリアンもジャンダルムもオブセッションも巻き返しを狙います。強豪ぞろいのGI競走から目が離せなくなります。

 つねかつこと常石勝義でした。

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常石勝義

常石勝義
1977年8月2日生まれ、大阪府出身。96年3月にJRAで騎手デビュー。「花の12期生」福永祐一、和田竜二らが同期。同月10日タニノレセプションで初勝利を挙げ、デビュー5か月で12勝をマーク。しかし同年8月の落馬事故で意識不明に。その後奇跡的な回復で復帰し、03年には中山GJでGI制覇(ビッグテースト)。 04年8月28日の豊国JS(小倉)で再び落馬。復帰を目指してリハビリを行っていたが、07年2月28日付で引退。現在は栗東トレセンを中心に取材活動を行っているほか、えふえむ草津(785MHz)の『常石勝義のお馬塾』(毎週金曜日17:30〜)に出演中。

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