【新・ダートクラシック戦線】「東京ダービーも少頭数になりかねない」“出走枠空費ルール”の課題と海外ダートとの競合問題

2024年04月30日(火) 18:01

教えてノモケン

▲「東京ダービーも少頭数?」新ダートクラシック戦線の課題を解説(撮影:高橋正和)

 2024年の競馬界で最も注目されるイベントが幕を開けた。今年、新設された3歳ダート三冠の初戦となる第69回羽田盃(JpnI、ダート1800m)が4月24日、大井競馬場で行われた。中央馬が出走できなかった過去42年間、出走頭数が1度も2桁を割ったことのなかった同レースが、今回は8頭という少頭数。レースは1番人気の白毛馬アマンテビアンコ(牡、美浦・宮田敬介厩舎)が、逃げ粘るアンモシエラ(牝、栗東・松永幹夫厩舎)を直線で抜き去り、新たな三冠の幕開けを飾った。上位2頭が中央所属で、アンモシエラから8馬身離された3着が地方最先着のフロインフォッサル(牡、船橋・山下貴之厩舎)だった。羽田盃の3日後には中央の京都で東京ダービー(6月5日大井、JpnI、ダート2000m)の前哨戦のユニコーンS(GIII、ダート1900m)が行われ、3番人気のラムジェット(栗東・佐々木晶三厩舎)が快勝。優先出走権を獲得した。一方で、羽田盃に地元の南関東勢が4頭しか出走せず、5月4日のケンタッキーダービー(米G1)との競合も表面化し、課題も見えてきた。

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▲JpnI格付けとなって初めての羽田盃を制したアマンテビアンコ(撮影:高橋正和)

売り上げ好調も、薄い地方勢の存在感

 羽田盃が行われた4月24日は終日、雨が降り続くあいにくの天候だったが、入場者数は5947人で晴れだった前年を27.9%も上回り、単体売り上げも13億7056万4200円でレコードだった前年からさらに45.2%の大幅増。楽々と初の10億円の大台を達成した。勝ったアマンテビアンコはGIを3勝したソダシなどを輩出した白毛一族で、白毛の牡馬で初のJpnI制覇。次の東京ダービーの目玉が現れた点でも、興行的には悪くない結果だった。

 ただ、地元の南関東勢がわずか4頭しか出走しなかった。最先着を果たしたフロインフォッサルは、2月14日の雲取賞(大井・JpnIII)5着からの臨戦。残るティントレットとマッシャーブルムは京浜盃(大井・JpnII)5、6着。ムットクルフェは4月8日のクラシックチャレンジを勝って参戦した。4頭中、地元(南関東)デビューはフロインフォッサル1頭で、2頭が北海道・道営からの移籍馬。マッシャーブルムは中央の京都で新馬戦を勝った後に大井・坂井英光厩舎に移った。地方勢としては、京浜盃で中央勢を抑えて押し切ったサントノーレ(大井・荒山勝徳厩舎)の骨折による戦列離脱が痛かった。全日本2歳優駿、雲取賞でいずれも地方馬最先着の3着に入り、京浜盃ではアンモシエラに7馬身の大差で圧勝。地方勢の期待を一身に背負う存在だった。

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▲前哨戦の京浜盃を圧勝も…戦列離脱となった地方馬サントノーレ(撮影:高橋正和)

前哨戦から目立った少頭数

 ダート三冠に向けた前哨戦は、1月17日のブルーバードC(船橋、JpnIII=1800m)で幕を開けたが、同レースはフルゲート14頭に対し出走9頭(中央馬3頭)で、結果は中央勢が複勝圏内を独占。地方馬最先着の4着は佐賀のウルトラノホシ(真島元徳厩舎)だった。雲取賞は一転してフルゲートの16頭が集まったが、ここではブルーサン、アマンテビアンコが1、2着で羽田盃の優先出走権を確保。本番5週前の京浜盃は9頭だった。

 今回のダート三冠新設に際しては、ダート適性馬の地方入厩を促す狙いで、前哨戦から中央馬の出走枠を意図的に3頭に絞っている。羽田盃、東京ダービーは4頭に増えるが、羽田盃のようにフルゲートの半分が空いている状態では、ルールのあり方に問題があると言わざるを得ない・・・

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野元賢一

1964年1月19日、東京都出身。87年4月、毎日新聞に入社。長野支局を経て、91年から東京本社運動部に移り、競馬のほか一般スポーツ、プロ野球、サッカーなどを担当。96年から日本経済新聞東京本社運動部に移り、関東の競馬担当記者として現在に至る。ラジオNIKKEIの中央競馬実況中継(土曜日)解説。著書に「競馬よ」(日本経済新聞出版)。

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