リヤンを演じた子役

2017年4月22日(土) 12:00



 桜花賞が行われたころ満開だったソメイヨシノが、すっかり葉桜になった。代わってひらいたマツバギクの細い花弁が、日々ぬるむ風に揺れて愛らしい。

 特集ドラマ「絆〜走れ奇跡の子馬〜」がNHK総合テレビで放送されてから、もうすぐひと月になる。

 原作者というのは、半分関係者で半分部外者のような微妙な立ち位置ではあるのだが、作品づくりを通じて、物語を映像化する難しさと面白さ、そのプロセスの細密さとダイナミックさ、そして何より、映像作品の迫力と素晴らしさを「これでもか」というほど感じさせてもらった。

 プロデューサーと監督には「予告」しておいたのだが、燃え尽き症候群になりそうだ。しかも、10代のころから毎年患っている五月病の季節が目前に迫っている。

 そんな自分を癒す効果も期待しつつ、可愛らしい若駒に会いに行った。「絆〜走れ奇跡の子馬」で、リヤンドノール役を演じた馬たちである。去年当歳だったリヤン役を演じた彼らは、今、1歳になっている。

「馬たち」「彼ら」という表現に「ん?」と思われた方もいるだろうが、リヤン役を演じた馬は2頭いる。撮影時期が6〜8月の暑い季節だったこともあり、負担がかからないよう分業させたのだろう。

門別・フジモトバイアリースタッドにいる、リヤンドノール役を演じた中間種(左端)。1歳牡のサラブレッド4頭と同じ放牧地にいる。

 上の写真の左端に立ち、こちらを見ているのが、その1頭である。先週本稿で紹介した、藤本直弘さんが経営する門別のフジモトバイアリースタッドで繋養されている。クォーターホースの血が入った中間種で、サラブレッドの血は入っていない。

 当歳のときはサラブレッドと変わらぬ大きさだったのだが、1歳の春になると、周りのサラブレッドより小柄であることがわかるようになってきた。

左から2番目がリヤン。左端はリヤンと最も仲のいい遊び友達で、父オネストジョン、母オフザリップの1歳牡馬。

 写真からおわかりのように、カメラを持つ私に興味を示し、寄ってくる...

作家。1964年札幌生まれ。ノンフィクションや小説、エッセイなどを、Number、週刊ギャロップ、優駿ほかに寄稿。好きなアスリートは武豊と小林誠司。馬券は単複と馬連がほとんど。趣味は読書と読売巨人軍の応援。ワンフィンガーのビールで卒倒する下戸。著書に『誰も書かなかった武豊 決断』など多数。『消えた天才騎手 最年少ダービージョッキー・前田長吉の奇跡』で2011年度JRA賞馬事文化賞、小説「下総御料牧場の春」で第26回さきがけ文学賞選奨を受賞。最新刊はテレビドラマ原作小説『絆〜走れ奇跡の子馬』。

関連サイト:島田明宏Web事務所

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