待機4年半を経てデビューしたルーキー 馬房数減少で狭まる若手への門戸

デイリースポーツ

2017年01月28日(土) 11:30

 中島智之助手(右)と師匠の岩元市三調教師(撮影・石湯恒介)

 今年もまた未来の騎手候補たちが、研修で栗東トレセンにやってきた。競馬学校騎手課程第35期生7人だ。順調ならば19年に騎手デビューを迎える。

 新人騎手は一般の新社会人より一足早く、3月からのデビューとなる。

 そんなトレセンで、さらに一足早く「デビュー」を果たした新人がいる。1月から岩元厩舎で働く中島智之助手だ。新人とはいえ競馬学校厩務員課程を卒業して4年半、馬に携わってからは13年を数える「オールドルーキー」だ。

 憧れの舞台でようやくスタートを切った。競走馬を、自分の手で最後まで仕上げてレースに送り出す。そんなやりがいと責任感に喜びを感じると彼は言う。「オープン馬は誰がやってもオープン馬、未勝利や500万下の馬を一つでも上の舞台に連れて行くのが仕事」と、牧場時代の恩師から贈られた言葉を胸に、仕事に励んでいる。

 JRAではこの数年、馬房数の減少が進んでいる。馬が減れば人も減る。コスト面や馬不足、外厩の充実などが要因だろうが、一番影響を受けるのは競馬界に入ろうとする人たちだろう。彼らのほとんどは競馬学校卒業後、牧場で働く傍ら、臨時のヘルパーとして厩舎の手伝いをする。そうして顔を知ってもらい、チャンスがあればいわゆる「正社員」になる。

 運も実力、とはいうものの、中島助手への評価は非常に高い。「真面目で意欲もあり、馬もちゃんと乗れる」と関係者は口をそろえる。トレセン内の各所から「良かったな」と声をかけられる姿からも、彼の仕事ぶりがうかがえる。

 そんな彼でも待機4年半、手伝った厩舎は20にも及んだ。ある調教師も雇いたいと考えたが、人員の都合でどうにもならなかった、という話も聞いた。

「若い人がかわいそうだ。スタートを切らせてやらないと…」関係者は表情を曇らせる。若者に門戸が開かれていない社会は必ず行き詰まる。

 苦労と努力の末、ようやくつかんだ舞台。定年まであと1年の岩元市三調教師にとって、おそらく最後の教え子となるだろう。新しいステージで、結果を残せるようレンズを通して応援したい。(デイリースポーツ・石湯恒介)

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