混戦を逃げ切ったグレイスフルリープ/東京スプリント回顧(斎藤修)

2018年04月19日(木) 18:00

2着以下が僅差のなか完勝のグレイスフルリープ(撮影:高橋正和)

 昨年のJBCスプリントは、5着までがコンマ1秒差という大接戦だったが、今回も逃げ切ったグレイスフルリープこそ単独で抜け出したものの、2-6着がコンマ3秒差という接戦。別定重賞による斤量差はあったが、JBCスプリントを勝ったニシケンモノノフは8着に敗れ、勝ったグレイスフルリープはJBCには出走しておらず、4着のサブノジュニアはダートグレード初参戦など、現在のダート短距離路線は王者不在で群雄割拠の大混戦だ。

 近年、ダート短距離路線でチャンピオンといえたダノンレジェンドが2016年のJBCスプリント(川崎)を勝って引退して以降、ダート1400m以下のグレードレースで連勝したという馬は皆無(例外的に、ホワイトフーガマリーンCさきたま杯ノンコノユメ根岸SフェブラリーSという連勝の例はある)で、複数のダート短距離グレードを制した馬も、ニシケンモノノフの3勝、グレイスフルリープの韓国を含めての3勝という、わずかに2頭だけ。というデータを見ても、ダート短距離路線は、いかに確たる主役不在かということがわかる。

 グレイスフルリープの今回の勝ちタイム、不良馬場での1分11秒8は、一見遅いようにも思えるが、2016年以降の大井は時計がかかるようになった。地方重賞まで含め、それ以前と1400m以下の重賞の勝ちタイムを比較すると、全体的に1秒程度は遅くなっている。それゆえ今回の勝ちタイムだけを見てレベルが低かったとは言い切れない。

 大井の1200mは内枠に入った逃げ馬が出遅れれば致命的だが、グレイスフルリープは互角のスタートからすんなりと逃げに持ち込むことができた。レース全体のラップ=逃げ切ったグレイスフルリープが刻んだラップで、前・後半でタイムを分けると、34秒4+37秒4=1分11秒8。湿った馬場とはいえ、ややタイムのかかる重い馬場で、前・後半のラップの差が3秒ということでは、前半がやや厳しいペースだったことがうかがえる。とはいえオーバーペースだったわけでもなく、1-7着馬までの後半600mが37秒3-37秒7という間に収束しているということでは、差してこられる馬もなく、有力馬のほとんどが、後半の脚色が一緒になってしまったという我慢比べだった。

 2着のキタサンミカヅキは、前半は積極的に普段より前の好位につけけたが、3コーナーあたりでは一旦中団まで下げ、そしてわずかの差ではあるもののメンバー中最速の37秒3という上りで持ち味の末脚を発揮した。13番枠のネロは果敢に先行勢に食らいついて3着に入った。この2頭は、あらためて大井1200mでの適性の高さを示した。

 そして上り37秒3の最速タイで、ダートグレード初挑戦にもかかわらず4着に入ったサブノジュニアは、コースロスのない内目を通ってきたぶんの好走。それにしても昨年3歳時のアフター5スター賞キタサンミカヅキに0秒4差の4着があり、このメンバーでも戦えることを示した。

 大井1200mは、何が何でもという逃げ馬でもない限り外枠が不利ということはない。好位からレースを進める馬にとっては馬群に包まれるリスクがないため、むしろスムーズにレースを進められるというメリットはある。しかし今回は拮抗した実力のメンバーで、ハイペースにもならず、3、4コーナーでは出走馬の半数以上が前で一団となった。それゆえ大外枠のラブバレットニシケンモノノフにとってはずっと大外を回らされて相当な距離損があったと思われる。2着馬に0秒3差で6着のラブバレットはたしかにそのぶんの惜しい差だった。一方8着のニシケンモノノフは58kgという斤量に加え、必ずしも適距離ではないフェブラリーSで逃げて最下位という反動があったのではないか。

 9着アピア、10着ウインオスカーあたりまで、ペースや展開や枠順によって、もう一度やれば着順は一変すると思われる。あらためて今のダート短距離路線は、それほどの混戦ということを示した東京スプリントだった。

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