【日本ダービー】最多5勝ジョッキー武豊監修「ダービーあるある」大公開/トレセン発秘話

東京スポーツ

2018年05月25日(金) 19:52

2005年ディープインパクトで4度目のダービーを制した武豊騎手(c)netkeiba.com、撮影:下野雄規

日本ダービー(日曜=27日、東京芝2400メートル)トレセン発秘話】

 ホースマンにとって最も特別なレース「日本ダービー」が開催される。過去には様々なドラマがあり、馬券の思い出も悲喜こもごも…。そこで今回は、最多5勝ジョッキー“武豊監修”「ダービーあるある」を一挙、大公開――。ジョッキー目線で見るダービーの傾向、裏話などに触れ、ダービーの魅力をより感じてもらえれば幸いだ。

★その1=皐月賞裏切り組がリベンジしがち★

 過去のダービーを回想した武豊は、ふとある傾向を口にした。

皐月賞で人気を背負って負けた馬が、あっさりダービーで勝つケースって多い気がしますね」

 実際に過去30年にわたって調べてみると…。皐月賞を1番人気で敗退した後に、ダービーでリベンジに成功した馬は、1990年アイネスフウジン(皐月賞2着)、93年ウイニングチケット(4着)、98年スペシャルウィーク(3着)、99年アドマイヤベガ(6着)、2002年タニノギムレット(3着)、09年ロジユニヴァース(14着)と6例もあった。武豊自身も「スペシャルウィークアドマイヤベガでやっているからね」と皐月賞敗戦からのダービーでのリベンジ連覇を思い出してニヤリ。ちなみにタニノギムレットの手綱を取ったのも武豊だが、この馬の場合は皐月賞では四位が騎乗していた。

 1番人気に限った話ではなく、皐月賞の上位人気“裏切り組”は侮れない、と覚えておきたい。

★その2=勝つときは予感ありがち★

 最多5勝男は「勝つときってレースの前からそんな雰囲気がある」。古くからの格言「ダービーは“運”が強い馬が勝つ」的なものを、実際に感じているという。

スペシャルウィーク(98年)のときは、まだダービーを勝ったことがなかったけど、勝てるって自信はありましたね。キズナ(13年)のときはダービーに向かうまでの流れが良かったし…」

 なかでも最も予感があったのはアドマイヤベガだったという。

「ボクの騎手コードナンバーは『666』なんですが、この年(99年)は第66回で、6月6日開催。しかも皐月賞も6着だったから、冗談で“ダービーも6着かな”って言いつつも、なんか予感はありましたね」

 見事にナリタトップロードをクビ差で差し切り、ダービー連覇を飾った。実はアドマイヤベガ皐月賞時は体調不良だったとか。なんとかダービーに間に合った状況だったため、「6月6日という例年より遅い日程に助けられた。もう1週間、早かったら万全の体調で出られなかったかも」。

 騎手が予感めいたことをコメントしていたら、ぜひ狙ってみたい。

★その3=最後の直線でばらけがち★

 武豊はレース傾向として、真っ先に「馬の力差がハッキリ出るのがダービー。最後の直線では前と後ろの差が大きく出る」ことを挙げた。

「例えば、短距離向きの馬やダート馬でも(賞金的に)ダービーへ出走できる状況になれば、使ってくるケースが多いでしょ。だから直線でうんと離れてしまうんです」

 だからこそ、「今まで伏兵馬が勝った年ってほとんどないですよね」と指摘する。

 過去30年で1番人気が勝ったケースは実に16回。3番人気以内がほとんどで、4番人気以降でダービー馬となったのは96年フサイチコンコルド(7番人気)、97年サニーブライアン(6番人気)、10年エイシンフラッシュ(7番人気)の3例のみ。やはりダービーは「馬のポテンシャル」を重視することをオススメする。

★その4=馬よりファンがイレ込みがち★

「ダービーは本当に独特。朝からスタンドのファンの高揚感がすごい。まさに“イレ込みがち”って感じ」

 百戦錬磨の武豊でも、ダービーは有馬記念とも違う特別な雰囲気をファンから感じるという。

「朝一番の1Rからファンファーレが鳴ると、大きな拍手が起こる。まだ1Rだから、みんな落ち着いて…みたいな(笑)」

 その尋常ではない熱気があるからこそ、ウイニングランでのコールは「勝利ジョッキーにのみ与えられる特権ですよね」と自身の記憶を重ねる。

「これだけは馬主さんも調教師さんも味わえない。騎手が最も喜びを感じられる瞬間ですね。だって10万人以上の人からコールされるって、普通に生きていたら味わえないでしょ」

 ジョッキーへのコールは、アイネスフウジン(90年)の中野栄治へ送られた「ナカノコール」が始まりと言われるが、もちろん「ユタカコール」が過去最多だ。今年のダービーでは、誰の名前がコールされるのだろうか。

★その5=関係者はテレビの前で正座しがち★

 大女優・吉永小百合が平昌五輪の女子スピードスケートで、日本女子初の金メダルを獲得した小平奈緒の試合を正座して観戦したことが話題になったが、競馬の祭典を関係者が正座で観戦するのは当たり前なのだとか。武豊はこう語る。

「この時期(5月)はお産シーズンなので、牧場の方は競馬場に来られない。だからテレビでダービーを見るケースが多いんです。そのときは“必ず正座する”って話を昔からよく聞きましたね」

 競馬場の関係者エリアも、もちろん朝から緊張感が漂っているが、やはり携わる人すべてにとって特別な日のようだ。

「そういえばボクが子供のころも、家でおふくろが正座してダービーを見ていたのを覚えてます」

 そんな格式高いレースを5回も制しているのだから改めて恐れ入る。

(童顔のオッサン野郎・江川佳孝)

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