馬も熱中症になる夏競馬/ねぇさんのトレセン密着

2018年07月16日(月) 14:00

武豊騎手とヤマニンウイスカー(撮影:花岡貴子)

 梅雨が明け、季節はすっかり夏ですね。栗東も美浦もホント暑い日々が続いています。

 皆さん、水分を摂っていますか? 日傘や帽子で太陽光線を遮る対策はしていますか? 熱中症にはくれぐれも気をつけて対策してくださいね。

 熱中症といえば2011年の夏、小倉記念に出走したヤマニンウイスカーがレースの直後、熱中症で倒れてしまったことを思い出します。

「レースはなんとか完走したものの、引き上げてきたらトモからガクっと倒れてしまった。すぐに水をかけられそうだった(ホースなどがあったとのこと)ので、なんとかそこまで連れていき、すぐに体を冷やした」

 と、当時ヤマニンウイスカーを担当していた山元助手は話していました。

 ヤマニンウイスカーはもともと涼しい季節のほうが得意で、暑さは得意ではありませんでした。青毛であの黒光りした馬体が太陽の熱を吸収しやすいのは仕方のないですが、まさか熱中症にかかるまでとは。

 それでも、すぐに水をかけられる場所で倒れたのは不幸中の幸いでした。これがレース中だったり、小倉は馬場から厩舎へ帰る地下道がとても長いのでその途中だったりしたなら、手当てが遅れてしまっていたかもしれません。すぐに体を冷やせたヤマニンウイスカーは運が良かったです。

 なぜ馬に水を飲ませるのではなく、かけることが有効だったのか。それは馬の汗腺の仕組みに答えがあります。

 動物の汗腺にはエクリン汗腺とアポクリン汗腺の二種類があります。人間の汗腺の多くはエクリン腺で、気温が高くなったときにこの汗腺から汗を出して体温を調整します。

 一方、アポクリン腺は運動したときや興奮したときにアドレナリンが増えて発汗につながります。馬はこのアポクリン腺が優れていて、ここから汗を出すことで運動をして上昇した体温を調整します。でも、エクリン腺は馬にはありません。だから、熱中症になったら水をかけて物理的に冷やしてあげるのが効果的なんです。

 それにしても、これだけ暑さが続くのは想定外。これから暑さが本格化しますが、夏競馬のあいだ、無事に全馬が熱中症になることなくトレセンに帰ってくることを願います。そして、競馬を観戦なさる皆さまもどうぞご自愛を。

(取材・文:花岡貴子)

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