福島ラストウィークは“セレクトセール絡み馬券”/トレセン発秘話

東京スポーツ

2018年07月19日(木) 18:00

ダイナカールのひ孫ムスコローソに注目(c)netkeiba.com、撮影:下野雄規

「最初は1億2000万円くらいで落とせないかと馬場(幸夫)さんと話してたんだ。ところが1億8000万円まで競り上がってギブアップ。ダイナカールのDNA、恐るべしと思ったよ」

 セレクトセールから美浦に戻った手塚貴久調教師に先週水曜、あいさつがてら今年のセリの様子を尋ねると、こんな言葉が返ってきた。話の主役は現役時代に手塚厩舎で重賞4勝を挙げたアイムユアーズ=その3番子の落札価格である。

「現役のころはこの血統がそこまで高値で取引されるとは想像しなかった」とトレーナーが語るのも当然か。阪神JF2着→桜花賞3着→オークス4着→秋華賞6着…。さらにマイルCS10着、ヴィクトリアマイル8着を含め、GIにはついに手が届かなかった母の競走生涯。成績だけなら上回る繁殖牝馬は何頭もいよう。

 だが、その価値を押し上げたのが、アイムユアーズと同じくダイナカールを曽祖母に持つ新種牡馬ドゥラメンテとの挑戦的な配合だろう。

キングマンボの3×4も合わせて、エルコンドルパサー並みの近親配合が競馬でどんな爆発力を生むかだよね。馬場オーナーは『スワーヴリチャードで(NICKSに)競り負けた苦い思い出がよみがえった。きっとあの馬も走るんだろうな』としょげてたけど、ディープインパクトの最高額牝馬(ウィラビーオーサムの18)は落とせたんだ。オーナー(アジアエクスプレスベストマッチョ)と相性はいいし、俺はそっちで頑張る。あとはムスコローソでもね(笑)」と指揮官。

 今週の土曜福島・白河特別にはダイナカールのひ孫ムスコローソが出走予定だが、まずはその“ウップン晴らし”に注目してみよう。

 さて、オーナーとの相性といえば、調教師が口癖のように語るのが「オレは金子(真人)さんの運に乗っかっているだけ」。国枝厩舎の過去GI13勝のうち8勝は同オーナーとのタッグ。今年ワグネリアンでダービー4勝目を挙げた同オーナーの強運に引っ張られたトレーナー人生を認めている。そして今年の“運試し”は土曜福島(芝2000メートル)でデビューを迎えるボスジラ(牡=父ディープインパクト母ミスパスカリ)から始まる。

「まだのんびり構えてボーッとしてるけど、聞けば兄マウントロブソンもモタモタ系とのこと。馬格があり、秘めた雰囲気はあるからね。走ってくるよ、コレは」とは厩舎番頭格の佐藤勝美助手。福島ラストウィークは“セレクト絡み馬券”を買ってみようか。

(美浦の宴会野郎・山村隆司)

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