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【神戸新聞杯】友道師「彼が騎手で一番ワグネリアンに跨っている時間が長い」/ねぇさんのトレセン密着

2018年09月22日(土) 20:00

信頼のおける藤岡康太騎手を背に秋緒戦を迎えるワグネリアン(撮影：花岡貴子)

　競馬は危険が伴うスポーツなだけに度肝を抜くニュースがたびたび飛び込んでくるものです。とはいえ、福永騎手の頭蓋骨骨折というニュースは衝撃的でした。福永騎手は負傷後も騎乗し続けてはいましたが、その姿を見ながら"無理しないで欲しい"と願った方はたくさんおられると思います。もちろん、わたしも同志です。

　騎手は昔から、主に騎乗馬確保のために早い時期から復帰しがちでした。正直、「本当に治っているの?」というタイミングから「大丈夫」と一点張りで馬に跨るジョッキーたちを数多く見てきました。でも、その"大丈夫"の裏付けは乏しいケースが多く、内心「無理しているな」と思わせつつも本人の"馬に乗りたい!"というひたむきさに首を垂れるのが正直なところでした。

　今回の福永騎手の決断は英断。将来のある方ですし、私見ですがこれでよかったと思いました。健康がある程度確保された状態できっとまた魅了するパフォーマンスを見せてくれることでしょう。また、その日が来るのを楽しみ待っています。

　そして神戸新聞杯で復帰するワグネリアンは本当に素晴らしい出来で。復帰緒戦ながらもファンの皆さんが納得いくパフォーマンスを見せてくれる状態にあると思います。担当する藤本助手も「背中の使い方が春に比べてさらに良くなっています。動きもひとつひとつが春より力強くなっていますね」と愛馬の春からの成長を実感していました。馬体重は「春よりプラス体重が見込めます」(藤本助手)とのこと。

「ダービーのときは長距離輸送もありましたし、極限まで仕上げたということであの体重になりました。今回は成長分もありますし、太目感もないですね。プラスの分はキッチリ成長分だと思います」(藤本助手)

　春はハミを噛んで少々力むところもありましたが、秋は「噛むには噛みますが、そのあたりはうまく無駄な力が入らないように調整できています。リラックスはしつつも、前進気勢もある」(藤本助手)とのこと。まさにいい塩梅に仕上がっているのではないでしょうか。

　鞍上は急遽、藤岡康太騎手に決まりましたが、友道師は全く動じるところはありません。

「調教を含めると、福永騎手を含めても彼(藤岡康太騎手)が騎手の中で一番ワグネリアンに跨っている時間が長いんじゃないかな」と友道師。

　これまで弥生賞の1週前、ダービーの1週前と2週前の追い切りなど、とても大事な場面で何度となく藤岡康太騎手に手綱を委ねています。

「時計の正確さなど頼れる面が多い」と友道師。急遽、騎乗できそうな騎手たちの一覧の中から、迷いなく選んだとのことでした。

　それ故、もはや"代打"という呼び名も相応しくないように思います。兼ねてから日本ダービー馬・ワグネリアンを支えてきた優秀なブレーンが本番に騎乗するのですから、いわば"とっておきの影打"と言えるのはないでしょうか。

　影打とは奉納する刀を何本かつくったうち、献上する真打に選ばれずに終わる品のことを言います。しかし、真打に勝るとも劣らない品質の逸品なのです。今回、藤岡康太騎手が大舞台でどのようにダービー馬をエスコートするのか、それを見られるのがとても楽しみです。

(取材・文：花岡貴子)
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