3歳世代のレベルの高さを象徴するルヴァンスレーヴの勝利/マイルCS南部杯回顧(斎藤修)

2018年10月09日(火) 18:00

古馬との初対戦でマイルCS南部杯を制したルヴァンスレーヴ(写真提供:岩手県競馬組合)

 GI/JpnI馬が5頭出走とはいえ、その評価にはかなりの差があって、単勝ではゴールドドリーム1.6倍にルヴァンスレーヴが2.1倍、離れてノンコノユメが9.9倍。人気2頭の馬連複は1.4倍というもの。その人気どおり、2頭が能力の違いを見せる結果となった。

 心配されたスタートだが、2頭とも互角のスタートから控えての追走。大きく出遅れたのはノンコノユメだった。逃げるのは、昨年逃げて2着に粘ったノボバカラか、かしわ記念で逃げて2着に粘ったオールブラッシュかと思ったが、果たして逃げたのはベストウォーリアだった。なるほどベストウォーリアは2014、2015年にこのレースを連覇したときは先行勢の一角を進んでいたから、全盛時を思い出させるためイチかバチかの作戦だったのかもしれない。

 人気2頭はといえば、先行集団を形成した5頭からはやや離れて6、7番手を追走した。このレースは差し・追い込みが決まりにくいが、両馬の鞍上は落ち着いていた。逃げたベストウォーリアの前半800m通過46秒9は、普段より時計がかかっていたこの日の馬場を考えるとやや速いペース。3コーナー過ぎから馬群の外を通って徐々に位置取りを上げていったルヴァンスレーヴゴールドドリームの行きっぷりは、その時点で他の馬たちとの能力の差が感じられた。

 ルヴァンスレーヴを追いかける形になったゴールドドリームは、最後まで並びかけることができず1馬身半差がついてのゴール。前半が速かったぶん、後半800mは48秒4とかかって、レースの上り600mが36秒2のところ、1、2着馬の35秒台の上りは圧巻だった。

 ルヴァンスレーヴの勝ちタイムは1分35秒3。コースレコードが一昨年のコパノリッキーによる1分33秒5で、連覇のコパノリッキーは昨年が1分34秒9。それに比べると1分35秒台というのはやや物足りないようにも思われるが、昨年よりも当日の条件戦で1秒以上時計がかかっていた馬場状態を考えると、そのタイム自体は評価を落とすものではない。

 南部杯史上初の3歳馬による勝利は、これまで有力中央勢の3歳馬の出走自体が少なかったがゆえでもある。とはいえこの時期の古馬との初対戦で、古馬チャンピオンを真っ向勝負で負かしたということでは評価に値する。9月29日のシリウスSオメガパフューム(ジャパンダートダービールヴァンスレーヴの2着)が勝ち、10月2日の白山大賞典でもグリムがレパードSから連勝。そしてJpnIのここをルヴァンスレーヴが勝ったことで、あらためてダート路線での3歳世代のレベルの高さを示すこととなった。

 ただ、必ずしもここが大きな目標だったとはいえないゴールドドリームにとって、ルヴァンスレーヴとの1馬身半という差が、そのまま実力差というわけではない。このあと、JBCクラシックチャンピオンズC東京大賞典と続くダートGI/JpnI戦線で、ケイティブレイブも加えた3強での争いが注目となっていくことだろう。

 今回、馬券的な興味は3着争いとなって、先着したのが5番人気のメイショウウタゲ。中央7頭で唯一重賞タイトルがなく、前走12番人気で制したエニフSは、4コーナーほとんど最後方に近い位置からの直線一気だった。しかし今回は積極的に先行集団の5番手からラチ沿いを通って早めに進出したのが功を奏した。前走を勝って調子も上げていたのだろう。

 ノンコノユメは、1、2着馬と同じように35秒4という末脚を発揮して4着。とはいえ勝ち馬からは1秒4差、3着のメイショウウタゲからも4馬身離された。大きな出遅れもあったが、前走かしわ記念で455キロまで増えていた馬体が、今回は輸送も影響したのかどうか、再び444kgと減らしてしまっていた。ノンコノユメには今回、出遅れだけではないさまざまに厳しい要因が重なってしまった。

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