JBCへ向けた地方馬の期待

2014年08月22日(金) 18:00


◆「短距離路線」と「牝馬」に期待

 まだ残暑が続いているとはいえ、秋の気配も漂いはじめ、地方競馬的にはいよいよJBCが話題になる機会が多くなってきた。特に今年は12年ぶりとなる盛岡開催だからなおさらだ。「盛岡の遠征はどうしよう?」と考えたり、友人と相談したりしている人も多いのではないだろうか。

 とはいうものの、今年のダートグレード戦線では、地方勢は例年以上に苦戦している。ここまでに勝ったのは、かきつばた記念のタガノジンガロ(兵庫)のみ。そのほか、2着が4回、3着が5回となっている。

 特に厳しいのが中長距離路線で、マイルを超える距離(牝馬限定戦は除く)では、ダイオライト記念でサミットストーンが3着、ジャパンダートダービーでハッピースプリントが2着という2例のみ。JBCクラシックでいえば、夏負けでマーキュリーCを回避したナムラタイタン(岩手)が万全の状態に戻ってどこまでということなるのかもしれない。

 ただ短距離路線に関しては、佐賀・サマーチャンピオンを見て、ひょっとするとこれから地方馬にもチャンスが出てくるのではないかと思えるようになった。エーシンビートロンは圧勝だったが、2着ピッチシフター(名古屋)、3着タガノジンガロと、3着以内に地方馬が2頭入ったのは今年初めてのこと。この2頭はかきつばた記念でもそれぞれ4、1着と好走しており、ピッチシフターは昨年のJBCレディスクラシックでも地方最先着の5着があった。あらためてダートグレードで互角に戦えるところを見せたといっていいだろう。

 さらにこの路線では、セイントメモリー(大井)がサンタアニタトロフィーで復活ともいえる勝利を挙げている。セイントメモリーといえば、昨年はJpnIIIのオーバルスプリントを制し、JBCスプリントでも地方最先着の5着。NARグランプリ4歳以上最優秀牡馬に選出された。

 ただ今年に限って運が悪いなあと思うのは、JBCスプリントが1200mで行われること。この3頭は、いずれも適距離が1400〜1600mあたりと思われ、1200mのスピード競馬では中央勢に対して分が悪い。舞台が小回りの競馬場の1400mだったらなあという気はする。

 あと期待できそうなのは牝馬だ。上記ピッチシフターの、かきつばた記念4着、サマーチャンピオン2着は、いずれも牡馬相手ということでは価値が高い。ただJBCということを考えると(もちろん出るか出ないかはわからないが)、スプリントの1200mでは短いし、レディスクラシックの1800mでは長い。今年はなんとも巡り合わせが悪い。

 条件的に期待が大きいのは兵庫のエーシンサルサだ。読売レディス杯ではピッチシフターを寄せつけず2馬身差をつけての完勝。サウスヴィグラス産駒ゆえ距離が心配されたが、地元に戻って1700mの兵庫サマークイーン賞を7馬身差で圧勝。さらに、牡馬相手のトップハンデ57kgを背負って出走した摂津盃でも6馬身差の圧勝となり、目下6連勝中。今年春まで勝ち切れないレースが続いていたころとはまったく別馬のようだ。エンプレス杯からマリーンCを連勝したワイルドフラッパーや、それをブリーダーズゴールドCで3馬身突き放したサンビスタなど中央勢はたしかに強力だが、今のエーシンサルサの勢いにはひょっとしたら、と思わせるものがある。

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斎藤修

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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