2014年09月09日(火) 18:00
現役時代の父親の話は、母親や周りの人が教えてくれた。みんなが口をそろえて言うのは「あいつは天才だった」ということ。追い込み馬をいきなり逃げさせて勝ってみたり、思いもよらない乗り方をするジョッキーだったと、みんながみんな、口をそろえて言った。「ホンマの天才は洋一だけや」と、いつも聞かされていた。
年配の厩務員さんのなかには、「お前のオヤジにはよう乗ってもらったんや」という方もいて、「ありがとうございます。親子二代でお世話になります」と挨拶をすると、みなさん「うれしいわぁ」と相好を崩した。そんなときは自分もうれしくなったが、なにしろ現役時代の父親を知らない。周りの人が褒めれば褒めるほど、遠い存在になっていくような気がしていた。
父親は「調教が下手だった」と聞いたことがある。かつて、一緒に併せ馬をしたという人が、『「アンチャン、調教うまいなぁ。俺の馬、頼むわ」って、洋一さんに頼まれたんだよ』とうれしそうに話してくれたことがあるが、実は調教が下手なのではなく、嫌いだったんじゃないかと思う。
というのも、そのほかのエピソードから、父親はセルフコントロールがうまく、人心掌握術に長けていたのではないかと思うからだ。無口だったとよく聞くけれど、身近にいた母親や柴田政人さんは、「おしゃべりだった」と言う。そのことからも、無口なキャラを演じていたんじゃないかと思うし、人間関係をスムーズにいかせるために、わざと麻雀で負けていたという話も母親から聞いたことがある。そのぶん、「レースでは絶対に勝つ」と言っていたらしいけど(笑)。
▲福永洋一さんと同期の柴田政人調教師
あとは、写真や映像を見ても、父親は・・・
続きはプレミアムサービス登録でご覧になれます。
登録済みの方はこちらからログイン
バックナンバーを見る
このコラムをお気に入り登録する
お気に入り登録済み
お気に入りコラム登録完了
福永祐一「祐言実行」をお気に入り登録しました。
戻る
※コラム公開をいち早くお知らせします。※マイページ、メール、プッシュに対応。
2013年にJRA賞最多勝利騎手に輝き、日本競馬界を牽引する福永祐一。まだまだ戦の途中ではあるが、有言実行を体現してきた彼には語り継ぐべきことがある。ジョッキー目線のレース回顧『ユーイチの眼』や『今月の喜怒哀楽』『ユーザー質問』など、盛りだくさんの内容をお届け。
福永祐一
1976年12月9日、滋賀県生まれ。1996年に北橋修二厩舎からデビュー。初日に2連勝を飾り、JRA賞最多勝利新人騎手に輝く。1999年、プリモディーネの桜花賞でGI初勝利。2005年、シーザリオで日米オークス優勝。2013年、JRA賞最多勝利騎手、最多賞金獲得騎手、初代MVJを獲得。2014年のドバイDFをジャスタウェイで優勝。
プロフィール
福永祐一の全成績
福永洋一の全成績
コラム
【喜怒哀楽】『凱旋門賞でのジャスタウェイ騎乗の決定を受けて』
ニュース
札幌リーディングは福永騎手、「来年も札幌で」
【祐一History vol.5】『命を懸けて走る競走馬、その意味を知った日』
競輪
競輪を気軽に楽しもう!全レース出走表・競輪予想、ニュース、コラム、選手データベースなど。