まだまだ難解な番組編成

2014年10月31日(金) 18:00


◆“2走使い”をご存知ですか?

 地方競馬の格付(番組編成)は、地区ごとにまったく統一感がなかった以前に比べれば、だいぶわかりやすくはなった。しかも最近ではネットで番組編成や登録馬を事前に掲載する主催者もあって、関係者のみならずファンに対しての情報提供も充実してきたと言っていいだろう。

 地方競馬での格付けはおおまかに、上から順に、A級、B級、C級とあって、さらにクラス(級)の中で番組賞金順に、1組、2組、3組……と細分化されている、と考えていればほぼ間違いない。と思っていたのだが、まったく違う事例があることに気づいて、ちょっと面食らうことがあった。名古屋なのだが。

 現在の名古屋競馬は、4日間で一開催が行われ、時期によってかなり変動はあるのだが、古馬C級は一開催おおよそ12〜20組程度の編成になっている。そして10月1〜3,9,10日の5日間開催では、以下のようにC級のレースが組まれていた。

 1日:[8組][9組][10組][11組]
 2日:[4組][5組][6組][7組]
 3日:[1組][2組][3組]
 9日:[16組][17組][18組][19組][20組]
 10日:[12組][13組][14組][15組]

 これだけを見ると、C級の中で1組が一番上で、順番に20組が一番下、と思うでしょ? ところが大違い。年に何度もないのだが、名古屋競馬ではこの開催は後半の2日間(9、10日)が、C級は“2走使い”となる開催。前半3日間の1組〜11組で編成された馬たちが、後半に出走を希望しない馬たちを除き、あらたに12組〜20組に編成されるというもの。たとえば大雑把に説明すると、前半の1組を走っていた馬や2〜3組の1、2着馬が後半では12組に編成され、前半の10組や11組で賞金を稼げなかった馬たちは後半の20組に編成されるというしくみ。ゆえに、11組の下が、12組、13組ではないのだ。

 たとえば次の開催になって、競馬新聞やネットの馬柱を見たときに、前走が「C-12」となっているのを見て、C級の一番上のクラスと理解できるファンがどれだけいるだろうか。

 実際にその前の9月15,17〜19日の4日間開催には2走使いがなく、C級は1組〜13組で編成されていた。つまり、9月15日からの開催の「C-12」「C-13」と、10月1日からの開催の「C-12」「C-13」では、まったく価値が違うのだ。

 厩舎関係者ならともかく、毎日名古屋競馬を予想しているようなレベルのファンでもない限り、馬柱を見ただけでは即座に理解することは難しい。ぼくも馬柱を見ていて、前々走のC-1上位馬が前走ではC-12に出走しているのを見て、「ハテ?どんなしくみになっているのだろう」と思い、名古屋競馬のサイトに掲載されている番組編成表を辿って、小さい文字で書かれた※表記の注意書きを読んでようやく理解した。

 そもそも中央のファンには“2走使い”ということ自体も馴染みのないもの。地方競馬の比較的所属頭数が少ない主催者では、レース数を確保するために“2走使い”は多く用いられている。そのしくみや表記は主催者によってさまざまで、今回はたまたま名古屋の例を取り上げたが、もう少しわかりやすいものにできないものか。

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斎藤修

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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